日曜日には、ネーミングを掘る #015 ミナペルホネン

親友と友達のちょうど中間くらいの
女性コピーライターがいる。

彼女が身につけている服が
いつも気になっていた。

その服は、彼女の書くコピーより、
彼女の個性を表現しているように思えた。

あるとき、彼女にブランドの名前を
尋ねてみた。

「ミナよ」と彼女は答えた。

「見なよ?」

彼女は、つづける。

「ミナペルホネン。
もしミナがなかったら、
マンションの1つくらいは
ラクに買えたかもね」

ミナペルホネンは、
デザイナーの皆川明氏が、
1995年に立ち上げた
ファッションブランドである。

ブランド名は、フィンランドの言葉。

「minä」は「私」、
「perhonen」は「ちょうちょ」を意味する。
蝶の美しい羽のような図案を
軽やかに作っていきたい
という願いを込めているという。

「もしミナがなかったら」
という彼女の返答を聞いて以来、
一人の生活者の心を
そこまで動かすこのブランドに興味を持ち、
店舗に足を運び、商品に触れ、
ブランドの源泉である皆川氏の言葉に
目を通すようになった。

やがてミナペルホネンには、
これからのモノづくり、
サービスづくりの指針となる
多くのヒントがあるのではないかと
思うようになった。

それは、以下のようなものである。

・自然を敬い、自然に学ぶ。

・テクノロジーの奴隷にならない。

・損得ではなく、
人と人とのつながりを大切にする。

・古くならず、味わいがまし、
100年後も愛される。

・無駄は省くが、手は抜かない。

・未来を予測するのではなく、
過去に学び、価値を結晶化する。

・多数決ではなく、一人でジャッジする。

・ディテールにこだわり、丁寧に作り込む。

・すべてにストーリーがある。

・計画は立てず、
「夢中になる今」を重ねていく。

・説明を省き、感じてもらう。

・働く人たちが、ブランドの最大の
理解者でありファンである。

・締め切りを設けない。
納得できたときを締め切りとする。

・トレンドを追いかけず、
自分のなかの井戸を掘りつづける。

・広告はせず、
その分のお金を商品づくりに投じる。

・値引き以外の方法で、感謝の意を示す。

・嘘をつかない。誤魔化さない。

・作品(Art)と商品(product)との
境界線をなくす。

・表現者がトップにいる。

以上。

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