日曜日には、ネーミングを掘る ♯109 「Sunday Stay Home.」

今週は。

テレビでAC JapanのCМを
目にする機会が増えてきた。

ACは通常のCМの穴埋めに
使われることが多いので、
新型コロナウイルスの影響で
あることは想像に難くない。

2006年からつい昨年まで、
私は、博報堂のSさんという
アートディレクターのもと
ACの仕事にかかわっていた。

ACの年間キャンペーンは、
甲子園の予選のような仕組みで決まる。

大手広告代理店や
広告制作会社内での選考からはじまり
地方予選、全国審査を経て
その年の1本が選ばれる。

上記の期間で数え切れないほど
たくさんのコピーを書いたが、
Sさん率いる優秀なチームと
幸運にも恵まれ、
そのうち5本が採用されている。

二十歳の登録。骨髄バンク

抱きしめる、という会話。

命は大切だ。命を大切に。
そんなこと何千何万回言われるより
「あなたが大切だ」
誰かがそう言ってくれたら
それだけで生きていける。

もたつく権利よろしーく。

思いやりは世界遺産。

どれも印象に残っているが、
なかでも「抱きしめる」と
「命は大切だ」は、
多方面から大きな反響をいただき、
私自身コピーを書く上で、
大きな転機になったように思う。

若い時分の私は、
諸々のコンプレックスに
ええ格好しい気質が相まって
世の中を斜に見て
批判的なコピーを書くことが多かった。

誰かを批判することは容易く、
つかの間のカタルシスを与えてくれる。
が、そのようにして生まれた
言葉の命は短い。

書き手の胸の奥にも、
絞り切れない1滴が残り、
淀みとなっていく。

ACの仕事は、教えてくれた。

世の中というものを
多少なりとも意識し、
そこに言葉を届けたいと思うなら、
たとえ小さくとも希望をまとわせ、
ささやかなことであっても
それを叶える方法を示すことだ、と。

ブルー・オーシャン戦略は、未知の新大陸を探しだす作業ではありません。
新たなブルー・オーシャンは今いるレッド・オーシャンの中に無数に存在するのです。

2件のコメントがあります

  1. 佐藤さん 元気ですか?視力も聴覚も嗅覚も失った老犬と、抱きしめるという会話をやっています。ぜんぜん喜んでいませんけどね。

    かなり絶望的なもの言いをする人がいますが、そのまま剥き身でごろんと差し出された言葉のまっすぐさと正しさに、逆に希望を感じることが多々あります。人間の希望というものは、崖っぷちに落ちているのかもしれませんね。

  2. 伊藤君、こんにちは。コメント、ありがとう。嬉しいです。返信がうまくいかないので、こちらに書くことにします。

    私は元気にやっています。こんな時期ではありますが、新規の仕事などもありありがたい事です。ただ、言葉に対する意識は少し変わってきたように思います。あまりまえだと思って使うことを避けてきた「安全と安心」という言葉がとても大切に思えてきて、ビジョンのなかに差し入れたりしています。変化ってなんだったんでしょうね。テレビで見るCМの薄っぺらさ。それが露わになっただけでもよしとしなければならないのかもしれません。

    伊藤君の家は、犬でしたね。うちは、老猫です。19歳になります。様子を見ていると、自分のようです。

    ともあれ元気にいきましょう。落ち着いたらまたやりましょう!

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