日曜日には、ネーミングを掘る ♯114「お蔵入り」

今週は。

コロナ禍による自粛生活で
家にいる時間が増え、
これ幸いとばかりに
不要物の断捨離に
精を出している人が多いようだ。

わが家もご多分に漏れず、
引越し以来、触れることが
タブーとなっていた
開かずの間やら箱やらを
あれやこれや言いながら
片しているところである。

また個人的には
この作業と並行して、
PCのなかでとっ散らかっている
データの整理も進めている。

ネーミング関連の仕事は、
ファイルごとに管理しているが、
とても整理整頓されているとは言い難く、
これを機に何とか
人並みにしたいと考えている。

そんなわけで、今回は、
整理中のここ数年の仕事のなかで
お蔵入りとなったいくつかの
ネーミングを紹介してみることにしよう。

まず1つめ。

『おてわらいプロジェクト』

これは、とある工務店さんに対して
トイレのみに特化した
リフォームサービスを
提案した際のネーミングである。

ご覧のごとく
「おてあらい(お手洗い)」
を文字ったものである。

昔から厠にいる神様は開運力が強く、
いつも綺麗にしておくと
良いことがあるといわれているが、
トイレから笑顔を誘い、
福を引き寄せようという狙いで
考案したネーミングであった。

便器の上に弁天様が鎮座するという
シンボルマークまで開発したのであるが、
採用には至らなかった。
ひょっとすると弁天様の
お怒りに触れてしまったのかもしれない。

次に、紹介するのは、

『galando』

これは不動産会社さんに提案したもので、
中古のビルをクリエイティブな視点で
丸ごとリノベーションして、
オフィス活用していただこうという
サービスのネーミングであった。

「がらんどう」の語源は、
伽藍神を祀ってある伽藍堂。長じて、
がらんとして何もない空間を
意味するようにもなった。

中古のビルを一回空っぽにして、
借り手の好きなように変えて、
ブランディングに活用するという
コンセプトに合わせて考案したものだ。

西城秀樹が歌った「ギャランドゥ」の
替え歌をブランドのテーマソングに
することまで考えていたのであるが、
これまた残念な結果となった。

3つめに紹介するのは
とある研究所のネーミングである。

『THINK TANQ』

シンクタンクと読むが、
TANKの「K」が「Q」に
なっているところがミソである。

というのも、この研究所。
最近注目されてきた探求学習に
ついての研究を行うことを
主要テーマにしていたからである。

「求」と「Q」が同じ読みになる
日本語ならではの面白さをいかしてみた。

村上春樹氏のベストセラー『1Q84』の
ネーミングも同じ発想で、
こちらはジョージ・オーウェルの
歴史的名著『1984』が下地にあることは
文学好きなら周知のことだろう。

以上、3本のネーミングを
紹介させていただいた。

箱入り娘ならぬお蔵入り息子
といったところであろうか。

かたちにはならなかったが
いずれも愛着のあるネーミングである。

ブルー・オーシャン戦略は、未知の新大陸を探しだす作業ではありません。
新たなブルー・オーシャンは今いるレッド・オーシャンの中に無数に存在するのです。

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