日曜日には、ネーミングを掘る ♯121「康生さん」

今週は。

康生さん、

と、年齢が一回りほど離れた
年下の友人からメッセージが届く。

今度独立することになって、
理念づくりを手伝ってもらっていいですか。

うん、いいよ。
でも、一人でやるんでしょ。
理念なんてオウギョウなものいるの?

そうなんですけど。
何かあったときに、
立ち返れるようなものが欲しくって。

なるほど。それは、わかる。
じゃあ、とりあえず会おうか。

康生さん、

一応自分でも考えてみたんですけど。
と、友人はパワポの1ページを開く。

MISSION:
With Growth Company.

VISION:
Growth Partner.

VALUE:
お客様の「しあわせ」が「自分のしあわせ」。

あかん、これはあかんやろ。

やっぱり。と友人は笑う。

ひとまず友人が独立のためにまとめた資料と
インタビューを参考に考えはじめる。

ある程度の曖昧さが必要な
企業の理念づくりとちがって、
個人の理念を作成する場合は、
その人にジャストフィットする
言葉のスーツを仕上げなければならない。

構造は、あくまでシンプルに。
その人が背負える言葉でなければならない。

まずは、友人が大切にする信条を3つ。

1.本気でやります。
だから、名刺を持たせてください。

2.成果にこだわります。
だから、厳しく評価してください。

3.頭も手足も使います。
だから、現場を任せてください。

顧客には「だから三兄弟」として
覚えてもらえるだろう。たぶん。

次いで、顧客への提供価値。

友人の武器は、営業と採用。
ここでは一人でやることと
提供できる価値のギャップを
表現してみたらどうだろうと考える。

「一人で、百人力となる。」

最後に、
ビジョンやミッションにあたる文言を考える。

友人がこうありたいという姿は、
成長の踊り場にある中小企業の矢面に立って、
突破口を開けるような存在になること。

この想いを一言で表現できるような
友人らしい個性ある言葉が欲しいと思った。

記憶の引き出しを開けていくと、
「いしつぶて」という言葉が見つかる。

漢字で書くと「石礫」。

石つぶてとは、小さな石ころのこと。
ひとつひとつは、
ただの小さな石ころに過ぎないが、
投げ続ければ、相手に確かな打撃を与える。

「俺ですね」って、
友人が微笑む顔が浮かぶ。

ちなみにカタカナで検索すると、
子どもたちが小さい頃に夢中だった
ポケットモンスターのキャラクター
「イシツブテ」が登場する。

なるほど記憶の引き出しの中身は
これだったか、と独り言つ。

改めてキャラクターを見れば、
友人にそっくりではないか。

このようにして使命がまとまる。

「企業の石つぶてとなり、
大いなる成長に貢献する。」

使命・提供価値・信条を併せて
友人に提案する。

プレゼンは10分で終了し、任務完了。

翌朝、友人からのメッセンジャー。

康生さん、おはようございます。
早速、奥さんから、
「石つぶて」と呼ばれています(笑)。

康生さんは、
結構しあわせな人かもしれないなと思う。

ブルー・オーシャン戦略は、未知の新大陸を探しだす作業ではありません。
新たなブルー・オーシャンは今いるレッド・オーシャンの中に無数に存在するのです。

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