変と不変の取説 第64回「一国一城の主、というプロパガンダ」

「変化だ、変化だ、変化が大事だ」とみなさんおっしゃいますが、会社も商品も人生も、「変えなくてはならないもの」があるのと同様、「変わらないもの」「変えてはならないもの」もあるのです。ではその境目は一体どこにあるのか。境目研究家の安田が泉先生にあれやこれや聞いていきます。

 第64回「一国一城の主、というプロパガンダ」

前回、第63回は「なぜオリンピックは盛り上がらない?」

安田

実は私、家を買ったことがないんです。

私はありますよ。

安田

へえ。意外ですね。

意外ですか。

安田

ええ。泉さんも家買うんだっていう。

すごい偏見(笑)

安田

でも日本人って持ち家が好きですよね。

そういう傾向はありますね。

安田

土地神話みたいなのがあって。とくに一戸建てが大好きなイメージです。

マンションを買う人も増えてますけど。タワマンとか。

安田

確かに。でもタワマンって後から凄い修理費がかかるらしいですよ。

そうみたいですね。

安田

住人がその修理費を払えなくて、タワマンがどんどん劣化していってる。

今いろいろと問題になってますよ。

安田

それでも新築のタワマンがどんどん建ち続けてます。

それはタワマンに限らずです。ちょっと異常。

安田

異常ですよね。なんで皆さんそんなに買いたがるんでしょう。借りてれば引越しもできるのに。

やっぱり人のものを借りてるって、貧乏なイメージがあるんじゃないですか。

安田

ちょっと時代錯誤な気もしますけど。

家を持ってる=裕福のステータスっていうのを、どっかで洗脳されたんですよ。

安田

車も昔はそうでしたよね。

はい。価値観はかなり変わってきてます。

安田

車なんていらんよと。電車で十分でしょみたいな。

はい。

安田

でも家だけは根強く残ってる気がするんですよ。

そうですね。みんな買いますもんね。

安田

ローン払ったら確かに自分のものになりますけど。35年ローンとか組んで、金利も含めたら倍ぐらいの費用を払うんですよ。

ですね。引越しもできないし。

安田

修理もしないといけないし。昔から日本人ってマイホームを持ってたんですか?

いや持ってないですよ。町人はみんな長屋暮らし。

安田

長屋っていうのは基本的に借家でしょ。

借家ですね。

安田

それで十分だと思うんですけど。

たぶん「資産を持っていたい」という思いが強いんですよ。

安田

現金一括で買うのならそれも分かりますけど。ローンで買ったら資産というより負債じゃないですか。

そうですね。

安田

投資として買うならともかく、住むためにわざわざローン組んで買う必要があるのか。

売っても借金が残りますからね。

安田

それって結構大きなリスクだと思うんです。なぜリスク嫌いの日本人がこんなにも家を買いたがるのか。

これは国策でやった部分がかなり大きいと思いますよ。

安田

そうなんですか?

ローンを組ませたら経済が動くし、返済のためにみんな真面目に働く。

安田

確かに。

大企業に入ったらローンも組みやすいので、みんなそこを目指すようになる。ローン組んだら会社も辞めないし。

安田

おお!すごい仕組みですね。

ローンを組ませたら社会が安定して経済が回る。だから国の政策で「一軒家を持つことがステータス」みたいなプロパガンダをした。

安田

確かに我々の世代ってそうでしたよね。借家に住んでるって友達に言うのがちょっと恥ずかしい。持ち家で一戸建てだとちょっと同級生にも誇らしい。

国がそういうプロパガンダをしたんですよ。

安田

泉さんも家を買う時にそういう気持ちがありましたか?

やっぱり、家を持つ=父親から認められる、「ちゃんとお前も独立したな」「立派になったな」って思われる感覚はありました。

安田

一国一城の主みたいな。

「お前もついに一国一城の主になったか」みたいな。

安田

確かに「家を建ててローンを払い終わったら1人前」みたいなのってありますよね。

うちも父親が頑張って家を建てて、その誇らしげな姿を見てるので。親父を超えたいとか、親父に褒められたいっていうのが潜在意識にある。

安田

でも中には子供まで入れてローン組む人もいますよ。

親子二代ローンですよね。

安田

生まれながらに借金があるから、就職して真面目に働いて、稼いだ金を返済に回していく人生。

そうやって経済が回っていく。国の政策です。

安田

それで国は豊かになりますか?

経済は回ります。

安田

でもずっとは続かないでしょ?ブランド離れがあったように、家離れや土地離れも起こる可能性があるし。

どこかで必ず起こるでしょうね。

安田

ですよね。こんなのずっと続くはずがない。家なんて余りまくってるし。

みんな買おうとしてるうちに、「どんどん建てて売っちゃえ」っていうのがあると思います。

安田

住宅会社さんはそれを分かってやってると。

積水ハウス、ダイワハウス、三井ホームなんかは、もう分かってると思います。どっかでヒューっと落ちて行くのが。

安田

ひどいですね。

分かってても売り続けるしかないので。車だってそうじゃないですか。

安田

車も売れなくなったきましたね。

日本じゃもう軽しか売れないし、落ちて行くのはもう分かってる。

安田

自動運転とか電気自動車とか、新たなテクノロジーは出てきそうですけど。

自動運転になったら自分で所有する必要がなくなる。みんな車をシェアするようになりますよ。

安田

でも家はシェアするわけにはいかないでしょ?

どうでしょう。新しいイノベーションが起こるかもしれませんよ。

安田

いずれにしても家の暴落は近いと?

そう思います。


場活師/泉一也と、境目研究家/安田佳生
変人同士の対談


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第1回:「変わるもの・変わらないもの」
長い間、時間をかけて構築された、感覚や価値観について問い直します。

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新たなブルー・オーシャンは今いるレッド・オーシャンの中に無数に存在するのです。

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