変と不変の取説 第99回「最後の1ピース(前編)」

「変化だ、変化だ、変化が大事だ」とみなさんおっしゃいますが、会社も商品も人生も、「変えなくてはならないもの」があるのと同様、「変わらないもの」「変えてはならないもの」もあるのです。ではその境目は一体どこにあるのか。境目研究家の安田が泉先生にあれやこれや聞いていきます。

 第99回「最後の1ピース(前編)」

前回、第98回は「昭和という幻影」

安田

この対談もついに99回目を迎え、100回で終わりというか「完成」となります。

はい。ついに完成しますね。

安田

この対談は永久にネットの中に残っていくはず(笑)!

ずっと読み継がれてほしいですね。

安田

で、最後の2話をやるにあたって「いままでの対談は何だったのか」という総集編をやりたいんですけど。

対談を完成させる最後の1ピースですね。

安田

そうです。この対談の基本コンセプトは「世の中が変わっていく中で、自分たちがどう変わらなきゃいけないのか」ってことですよね。

そうです。

安田

私たちは学校で歴史を学んでますけど、自分のことって「知ってるようで知らない」。

『日本人の取説』でも書いてますけど、繋がってないんですよストーリーが。

安田

私もそんな気がします。習ってることと現実とが繋がってない感じ。

感性の鋭い人はそう感じてるはずなんですよ。でも多くの人はそこを疑わない。

安田

言われた通りに信じちゃうと。流れに身を任せているだけではダメだってことですよね。

主体的に生きなきゃダメってことです。

安田

世の中が激変していく中で、自分も会社も「変わらなきゃ」とは思ってるはずなんです。でもどうやったら変われるのか。どう変わればいいのか。そのヒントがほしい。

タイトルと同じで不変なものを知っておくってことですね。それ以外はぜんぶ変えたらいい。

安田

そもそも「不変なもの」とは何ですか?

それがわからない(笑)なので対談したんじゃないですか「不変とはなんぞや」って。

安田

確かに(笑)きっとそれは「すごく本質的なもの」なんでしょうね。

そうですね。言い換えるなら残っているもの。

安田

残っているもの?

歴史上、何千年もずっと残ってるものは、たぶん、これからも何千年と残る確率が高い。

安田

それは歌とかですか?

そうですね。芸術とか、哲学とか。

安田

文学とか。

文字とか。

安田

文字を読まない人がどんどん増えてますけど。なくなりはしないですか?

なくならないと思います。

安田

私は、人間と動物の最大の差は「集合知」だと思ってまして。動物はすごい天才が生まれても1代で終わってしまう。でも人間は文字や言葉を使って伝承できる。

そうですね。それが最大の違いだと思います。

安田

先祖の知恵や知識をインストールできるから、人間って他の動物より優れてるわけで。文字とも言葉とも接触せずに育ったら、たぶん猿と変わらないですよ。

そうでしょうね。だから常に教育が中心にあるんですよ。

安田

過去の知恵を共有するっていうのは、それこそ2000年前から変わってないわけですよね。

変わってないし、これからも続いていくと思います。

安田

問題は「何のために知恵や知識を共有するのか」ってことだと思うんです。「生存のため」なのか「好奇心」を満たすためなのか。

好奇心でしょうね。

安田

やっぱりそうですよね。人間にとっての未知の世界を探求するために、知恵や知識を共有してる。

人間はまず目に見えるものを探究したんです。望遠鏡をつくったり顕微鏡をつくったり。とにかく見える世界をガンガン探求していった。

安田

なるほど。

で、そっちの世界はかなり探究したから、そろそろ違うほうに行くんじゃないかなと、私は思ってます。

安田

見えないものってことですか?

はい。

安田

物質的なものを追究するのは西洋文明のイメージですよね。

その通りですね。

安田

見えないもの、たとえば「気」だとか「心」だとかってのは東洋的なイメージです。

仏教なんかまさにそうです。

安田

具体的にはどんな物を探求するようになるんですか?

命ですね。

安田

命?

たとえばウイルスって生物か無生物かまだ結論が出てないんです。そういう「中間のやつ」が現れて世界中を混乱に陥れてる。これって何かのメッセージだと思うんですよ。

安田

命って医学的には「心臓が動いてる」「脳が活動してる」という状態ですよね。

それは物理的な話です。

安田

たとえば細胞を培養して心臓ができて、これが動いたとしても「生きてる」とは言わない気がするんですよ。

そうですね。「物質としての命」と「全体統合された命」とはぜんぜん違うから。

安田

全体統合された命?

命と意識が何かでつながっている状態。

安田

たとえば植物は根っこだけ残ってたら、まだ生えてきますよね。あれは何かが繋がってる状態でしょうか。

完全に枯れる時には何か「つながってるもの」が切れるんでしょうね。プチンと。

安田

どことのつながりが切れるんでしょう。

「ダークマター」って知ってますか?

安田

宇宙の大半を埋め尽くしてる物質ですよね。

物質かどうかもわからない。「まだ何かはわからへんで」っていうもの。

安田

でもあることは確かだっていう。

宇宙もビッグバンの質量をはかったら「何かわからへんもの」がいっぱいある。でも「まだ観測できてません」みたいな。

安田

そこと命が繋がってるってことですか?

まだ分かりません。

安田

それを探求するために教育があると。

探求は永遠に続くんじゃないですか。

安田

永遠ですか。でも人間の脳みそには限界がありますよ。

そこにコンピュータが登場したわけです。

安田

脳みそという「限りあるメモリ」から解き放たれたわけですね。

外側メモリを使えば無限に近い知識やデータをインプットできますから。

安田

スマホは一人一人の「もうひとつの“脳みそ”」みたいなものですよね。

はるかに優秀な脳みそです。世界中の情報に瞬時にアクセスできるし。

安田

となると、人類の進化はこの先ぜんぜん違うものになるかもしれない。

ランドセルに教科書を入れてることがアホらしいんです、本当は。このクソ暑いのにランドセルに教科書を詰め込んで登校して。

安田

もはや脳みそに記憶しておく必要がないですもんね。

おそらく学校の授業には「検索」という教科ができるはず。集合知を検索する力。

安田

なるほど・・・・(最終回に続く)


場活師/泉一也と、境目研究家/安田佳生
変人同士の対談


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第1回:「変わるもの・変わらないもの」
長い間、時間をかけて構築された、感覚や価値観について問い直します。

安田佳生とおこなう「スイッチミーティング」

「広告費を削減したい」「競争に巻き込まれない商品を手に入れたい」という経営者のみなさま。発想をスイッチして、「新しい商品」と「新しい顧客を」つくってみませんか?

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