第28回「アパレル高機能素材のミライとは?」

このコラムについて
世の中の情報は99%が「現在」または「過去」のものでしょう。たった1%の未来情報をつかめる人だけが、自分のキャリアやビジネスを輝かせるのです。でも、未来情報なんか手に入らないよ!と思ったアナタ。ご安心を。もしアナタが古い体質の会社に勤めているなら超ラッキー。そんな会社の経営者ならビジネスがハネるかも。

未来コンパスが、あなたの知らない未来を指し示します。

 28  アパレル高機能素材のミライとは?

11月とは思えない寒暖差が続き、体調に気をつかっている皆さん!
私も気をつけていたのに、服のチョイスミスによる汗冷えで風邪ぎみの今日この頃。
ですが、この発明があれば、気温の変化が激しくても衣服内を快適に保ってくれるはずです!


特開2020-169411号(出願人:東レ株式会社)
【発明の名称】織編物及びタオル
【要約】アクリル繊維に耐久吸水加工をすることで洗濯後でも吸水速乾性が落ちない織編物


ファストファッションの質がここ10年で急激にあがっていると感じます。
代表的なのがユニクロとGU。
とても合成皮革とは思えないクリーンな素材をつかったGUのスニーカーが、え!? 1980円!? 撥水機能がついていて雨にも汚れにも強い上に、形もきれいでこの値段です。
私が愛用しているユニクロのジャケットは4980円。生地の表面にツヤがあって、有名ブランドだったら一桁以上は値段が違うのではと思います。

そんなユニクロを支えるのが東レの高機能素材です。ヒートテックやエアリズム、ウルトラライトダウンといったヒット商品も東レとのコラボにより生まれました。

さて、この発明は洗濯しても吸水速乾性が落ちないアクリル繊維です。
アクリル本来の速乾性に加えて綿のような吸水性を備えたこの素材は、例えばスポーツウエアや寝具といった肌に接する環境を快適に保ちたい商品と相性が良さそうです。

未来コンパスが指すミライ

こういった高機能素材も競争が激しくなっており、メーカーはその性能で他社との差別化を図ろうとしています。
ですが、消費者側からすると正直その差は分かりません。
ユーザーが気にするのは「1年前に買ったけど、まだ吸水速乾機能は続いているだろうか」という点だったりします。広告で謳っている機能は、実際には感じづらいもの。それを分かるようになれば消費者を惹きつけられます。
例えば、タグの色で機能の残存度を表わしても良いでしょう。50回洗濯してタグが黒に変わる頃には、効能が落ちていることが分かり、買い替えを促すトリガーにもなります。

効果はあるが、見えない・聞こえない・体感できないために、訴求しきれていない商品があります。商品はそのままに「可視化」「可聴化」「可触化」といった要素を付加すると、他社とバッティングしない未だないマーケットが見えてきます。
そこを権利で押さえれば、そこがミライの「小さなブルーオーシャン」です。

 


 この記事を書いた人  

八重田 貴司(やえだ たかし)

外資系企業/法務・知財管掌。弁理士。
会社での業務とは別に、中小・ベンチャー企業への知財サポートをライフワークとする。クライアント企業が気づいていない知的財産を最大化させ、上場時の株価を上げたり、高値で会社売却M&Aをしたりと言った”知財を使って会社を跳ねさせること”を目指す。
仕事としても個人としても新しいビジネスに興味があり、尖ったビジネスモデルを見聞きするのが好き。

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