ネットの履歴書
第13回『個人の発信力が変える社会』

株式会社ソルナが開発した究極の履歴書。それがネットの履歴書』これまでの履歴書や職務経歴書とは何が違うのか。なぜ究極と言えるのか。その秘密に迫ります。

小さなブルーオーシャンを追え
〜ネットの履歴書〜

第13回『個人の発信力が変える社会』

 

安田

「個人が強くなっている」という話でしたよね。

三澤

そうです。個人の力がどんどん強くなってる。

安田

この前、新潟のアイドルグループの事件、あったじゃないですか。

三澤

アイドルが襲われたやつですね。

安田

はい。家に押し入ってきたんですよ。メンバーが情報をもらしてたみたいで「ちゃんと処分するって言ってたのにしなかった」みたいな。

三澤

結局、辞めちゃいましたよね、その子。

安田

「会社が守ってくれない」「嘘ついてた」みたいなことを暴露しちゃって。

三澤

そうでしたね。

安田

今までだったら「会社としてこういう方向だから、みんな従うように」って言ったら従わざるを得なかったじゃないですか。

三澤

ですね。

安田

今は彼女みたいツイッターで「これは私の本心じゃありません」とか言われたら、会社とか事務所とかは隠し通せない。

三澤

もう押さえつけられないですね。そういう時代だと思います。

安田

会社と社員の関係もそうなっていくんですかね?

三澤

そうなりますね。いまどきサービス残業なんて無理です。隠せないので。

安田

今は普通に書きますもんね。ちょっとパワハラされたら「うちの会社でパワハラされた」みたいに。

三澤

東洋経済さんみたいなメディアでも「パワハラされて会社辞めた人の末路」みたいな記事ばっかり上がってくるんですよ。

安田

ゴシップ系の記事?

三澤

はい。昔だったら「SPA!」とか「東スポ」じゃないと、取り上げないような話題。

安田

確かに、マスコミの取り上げるネタって、変わりましたよね。

三澤

「あ、このレベルでもパワハラなんだ」というふうに、だんだんおかしな方向に行っている感じがします。

安田

どのあたりからパワハラなんですか?今は。

三澤

もう本当に「ミスしたのを注意しました」ってだけなのに「言い方がきつかった」とか。

安田

それが記事になっちゃうんですか?

三澤

きついこと言われて「新入社員がいきなり来なくなった」みたいなのを取り上げて、記事にしてたり。

安田

迂闊に注意もできない。

三澤

人間関係によるんですよ。セクハラとかと同じ。誰が言ったのか、誰が触ったのか、誰がお願いしたのかによって、状況が変わる。

安田

相手の受け取り方次第だと。

三澤

そうなんですよ。「えっあいつと同じこと言ったのに、なんで俺はパワハラであっちは違うの!?」みたいな。

安田

もう「関わらないようにしよう」って、なっちゃいますよね。

三澤

本当にその人の主観・意見・感想ですよね、もう。

安田

怖いですね。上司も。

三澤

「あなた、本当はそう思ってないでしょ?」っていう証明もできないので。正解は本人だけみたいな。

安田

今までだったら許容されてきたじゃないですか。お互いに「このぐらいだったら許してやるか」みたいな。

三澤

ネットの出現によって変わりましたね。明らかに。

安田

簡単に書けちゃいますもんね。しかも匿名で。

三澤

自分の身分を明かすんだったら、そう簡単には書けないですけどね。

安田

パワハラ被害の書き込みとかでも、やっぱり本名では書かないんですか?

三澤

ほとんど見たことがないですね。

安田

Facebookは本名でやってる人が多いですけど。

三澤

「Facebookで誹謗中傷されました」ってのは、この何年かで数件ぐらい。

安田

やっぱり、ちょっとグレーな「2ちゃんねる」的なところに書くわけですね。

三澤

そうです。「転職会議」とか「インターエデュ」とか、荒れやすい場所は結構あります。

安田

「みんなの就職活動日記」とかも、本名でやる人はいないですか?

三澤

いないです。「人事の人も見てるだろう」というのが前提なので。

安田

新潟のアイドルは特殊だったんですかね。

三澤

ああいう風に、明確な目的を持って書き込む人は少ないですね。

安田

みんな何目的なんですか?

三澤

「王様の耳はロバの耳」みたいな。吐き出せばOKなんだと思います。だから自分が書いたものを見直すってこともない。すごくネガティブなことを書いて忘れる。

安田

勝手なもんですね。おじさん世代とかは、さすがに書かないですか?ああいうのは。

三澤

いや結構、書く人います。

安田

いるんですか?いい歳して。

三澤

はい。一部上場の電機メーカーさんで裁判になって調べたら、社長のコネで入ってきた役員が書いていたという。

安田

なんと!それは書いてる人がリテラシー低すぎて、あとで問題になるのが分からなかったんですか?

三澤

分かってなかったんだと思います。匿名で書いてましたから。

安田

やっぱり匿名でしたか。

三澤

匿名で、2ちゃんねるで。銀行から来た他の役員が気に入らなかったみたいです。

安田

子供じゃないんですから。いい歳した役員さんでしょ。

三澤

本名をさらしたら書けないですね。ひどいこと書いてましたから。

安田

バレちゃったら、かなり恥ずかしいですね。

三澤

はい。もう会社にいれないです。

安田

今後はどうなんですか。そういうおじさんは、まだまだ出てくるんですか?

三澤

出てくると思います。まだまだリテラシーが低い人が多いですから。

安田

じゃあ、この状況は変わらないと。

三澤

なくらないとは思いますけど、悪口とかいじめは減るかもしれないですね。もうちょっと厳罰化されていけば。

安田

厳罰化されていくんですかね、今後。

三澤

時間かかると思いますけど、放っとくわけにもいかないので。

安田

そうですよね。それで追い込まれて自殺ってこともあるんじゃないですか?

三澤

ありますね。でも、「ネットの書き込みを苦にして自殺」っていうふうには報道されてない。

安田

それはどうして?

三澤

明確にそれが原因だとは分からないからです。

安田

なぜ三澤さんは分かるんですか?

三澤

ご遺族の方から何度か聞いたことがあります。ネットの書き込みを苦にしてたって。

安田

なるほど。心当たりはあるけど、遺書が残ってないから証明できないと。

三澤

はい。ネットで書いた側も実際に会ってないから、自殺されてもあんまり心が痛まない。

安田

そういう案件には、ネットの自警団は出てこないんですか?

三澤

いや、出てくる可能性はありますね。「実はこの人がいじめてた」って特定されると、まあひどいことになると思います。

安田

ということは、いじめてる人にもリスクはあるってことですよね。

三澤

すごくあると思います。いじめを隠しとおせることって、最近あんまりないんですよ。

安田

じゃあ、どこかで必ずバレると。

三澤

はい。寄ってたかって犯人を見つけ出そうとしますから。

安田

いい社会なのか、悪い社会なのか、よく分からなくなってきましたね。

・・・次回へ続く・・・

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