原因はいつも後付け 第4回「悪徳業者から得たもの」

// 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 //
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

《第四回》悪徳業者から得たもの

「独立して一番ピンチだった時期は?」と聞かれたら、間違いなく「1店舗目の開業前」と答えます。

その理由は「開業資金の大半を、悪徳業者に騙し取られてしまったから。」

お店が出来てからお金を騙し取られるなら、まだ何とかなるかも知れません。
お店さえあれば、そこでお金を稼ぐ方法を考えればいい訳ですから。

ただ、そのお店を作るためのお金のほとんどを騙し取られてしまっては、為す術なし。
この時ばかりは、本当に「終わった」と思いました。

騙された事が原因で、開業資金の大半を失うという結果を招いてしまった創業時。
この絶望的な結果から起死回生の一打を捻り出すことはできるのか?

残された選択肢

2002年、6月。
1店舗目は2階建ての木造民家を改装して洞窟風の内装にする予定でした。

インターネットも普及しているとは言えない時代だったため、飲食開業雑誌を調べて内装業者を決定。はじめての事ばかりで心配事は尽きませんでしたが、お店の工事は順調に始まりました。

ブルーシートで覆われ、どんどん解体されていく木造の民家。
この頃は毎日1回、現場を見に行くのが私の楽しみでした。

ただ、解体が始まって数週間後。妙な事に気づきます。毎日見に行っても、工事が進んでいるようには見えないのです。

何度か問い合わせをして、始めの頃は繋がっていた業者の電話もついに繋がらなくなり、そのさらに数日後、発注した内装業者の下請け会社さんから決定的な電話が入ります。

「入金がないから工事を進められない。」
騙された!不安が確信に変わった瞬間でした。

消えた開業資金とブルーシートで覆われた骨組みだけの民家。

知人にはオープンの招待状も送付済み。
このまま放置して逃げ出すことなんてできません。

残された選択肢はただ1つ。「何とかする」のみでした。

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