原因はいつも後付け 第46回 「偉いのはどっち?」

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原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

《第46回》偉いのはどっち?

数年前まで、私は自社の新入社員研修を自分で行っていました。
その中で私は毎年、新入社員にあるテーマについて考えてもらう時間を設けていました。

それが「お店と仕入先、偉いのはどちらか?」というテーマ。

こんな事を書くと「もっと他に習得させるべきことがあるだろう」と思われる方もいるでしょう。確かに店舗で働くことを考えれば、こんな売上に直結しそうもないことを考える時間を用意するくらいなら、シェーカーの振り方とかを学んでもらった方が余程、店舗では役に立つ訳です。

じゃあ何でこんな、すぐに役立ちそうもない事なんかに時間を使うのか?
そこには私なりの思いがあるからなのです。


自分のお店と仕入先の関係をどう捉えるのか?
「仕入れてやってる」と捉えるのか「取引させてもらっている」と捉えるのか?

これに正解なんてないでしょうし、考える必要もないと感じる方も多いでしょう。

ただ、それでも私がこんな一見些細な事を気にするのは、この捉え方が実はお店の業績を左右する要因になっている可能性があると考えているからであり、事実私が仕事を共にさせてもらっている店舗に限って言うならば、「取引させてもらっている」と考えているお店ほど繁盛しているように見えるのです。

仕事柄、私は顧客である店舗オーナーの現場で打ち合わせをすることが多く、そこで業者さんが納品に来る場面に遭遇する事も多いのですが、繁盛しているお店の業者さんへの対応は見ていてとても気持ちが良く、そこには「仕入れてやってる」なんて素振りはありません。

そして、そんな彼らを見ていると、ある事に気づくのです。
彼らはお金を払う側ばかりが偉いのではないと考えているからこそ、お店で自分がお客さんからお金をもらう立場となった時にも自信を持って接することができているのだろう、と。

これは逆を返せば、もしお金を払う側が偉いと考えるお店があるのなら、その考えは自分がお客さんからお金をもらう立場となった時に、お客さんがお店に「来てやってる」という態度を取られても当然と考えているということになる訳です。

自分のお店はお客さんに「来てやってる」という態度を取られて当然。
そんな、自らのお店に自信を持てないお店が繁盛するとは私には思えないのです。

冒頭に書いた通り、社員の研修だったらもっと直接商売に役立つ事を教えた方が良いという意見があるのは分かります。

ただ、お店と取引業者さんとの関係性をどう捉えるかが、そのままお客さんとお店との関係性にも同じことが言える以上、私はこのテーマについて考えるのは大切であり、もっと言うのなら、自分と周りの関係性をお金の流れでしか考えられない人は、どんなに集客や商品を考える力を磨いたとしても、その人の周りにはお客さんどころか取引先も集まってくることはないと思うのです。

2012年、新店舗のオープニングにて。
仕入先に感謝する気持ちがあるからこそ自信を持った接客ができる、と私は思うのです。

 

著者/辻本 誠(つじもと まこと)

<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/

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