第85回 発想力と実行力

 // 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 //
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

「斬新な切り口の商品を開発したい」
こんな事を考えた経験があるのは、私だけではないと思います。

お客さんが「あっ!」と驚くような商品を生み出すことができれば、お客さんも喜んでくれるし、自分の商品も売れていく。

だからこそ、多くの人が斬新なアイデアを捻り出す「発想力」を求めるのだと思います。

でもこれまで商売をやってきて私、思うんですよね。
発想力ばかりが注目されがちだけど、それと同じくらい大事なのが「実行力」なんじゃないかって。


「確実に売れると思っていた商品が売れない。」
「そんなに期待していなかった商品がたくさん売れる。」

これまで19年商売をやってきましたが、こんな事が未だに起こります。
確かに私に商品の売れ筋を読む力がないと言ってしまえばそれまでかも知れません、笑。

ただ、ここで私が大事だと思うのは、その商品が売れたかどうかという結果よりも、「お客さんが買える状態」にしたかどうか、という実行力なのです。

私たちはつい、発想力ばかりを重視するあまり、この実行力を軽視しがちな気がします。でも、自分のどの商品が売れるのかを予想するのは難しいという経験からすると、私たちが意識すべきなのは、商品アイデアの発想力以上に、実際に売ってみるという実行力なのではないでしょうか?

どんなにアイデアを考え続けたとしても、実行しないアイデアが売れることはありません。
逆に多少、斬新さに欠けたアイデアであったとしても、売れる状態にすることさえできれば、そこから商売の可能性は広げることができます。

当たり前の話ですが、売ってみるからこそお客さんの反応が分かり、その経験が次の商品アイデアに活きるのだということ。

そう考えるのであれば、新たな発想とは「商品を売ってみる」という実行を継続していく中で蓄積された自分なりのノウハウから生まれるものであり、斬新な商品を生み出そうとするあまり、売ってみるという実行を先送りするほど、新たな発想が生まれる機会を自分自身で遠ざけてしまっているような気がしてならないのです。

 

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著者/辻本 誠(つじもと まこと)

<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/

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