小さなブルーオーシャンに出会う旅 第13回「『食品業界のインテル』と呼ばれる、知られざる超優良企業」

このコラムについて

小さなブルーオーシャン?
何だかよく分からないよ。ホントにそんなので商売が成り立つの?

と思っている方は多いのではないでしょうか。何を隠そう私もそのひとりでした。私は人一倍疑り深い人間なのです。そこで・・・私は徹底的に調べてみることにしました。小さなブルーオーシャンなんて本当にあるのか。どこに行けば見られるのか。どんな業種なら可能なのか。本当に儲かっているのか。小さなブルーオーシャン探求の中で私が見つけた答えらしきもの。それはきっとみなさんにとっても「何かのヒント」になるはずです。

第13回「『食品業界のインテル』と呼ばれる、知られざる超優良企業」」


新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、外出自粛要請が出されて、早2週間ほどが経ちました。私も「ステイホーム」ということで、自宅でこの記事を書いております。
自宅にいることで、外食をしなくなり、飲み会も自分でお酒やおつまみを用意して「オンライン飲み会」ばかりになりました。ずっと自宅にいるとは言え、毎回、毎回、自炊をしているわけではありません。冷凍食品やインスタント食品と言った加工食品も口にしますが、今回は、この食品業界において「食品業界のインテル」と呼ばれている企業を紹介したいと思います。

※    「インテル」とは、アメリカ合衆国カリフォルニア州に本社を置く半導体素子メーカー。1992年以降から現在に至るまで、世界第1位の半導体メーカーとして君臨し続け、特に世界CPU市場ではここ数年80%近いシェアを維持しています。Intel 64などのCPU(マイクロプロセッサ)があり、パーソナルコンピュータではPC/AT互換機やアップルのMacintoshに使われているほか、ワークステーションやサーバー、データセンター、モバイルデバイス向けの製品も扱っています。

天然調味料のリーディングカンパニーは、徹底的に天然調味料にこだわり、困難な完全自動化に挑戦し続けた

今回、紹介するのは「アリアケジャパン株式会社」さんです。
この社名を聞いて、おわかりになる方は食品業界にいる人くらいではないでしょうか?
アリアケジャパン株式会社さんは、天然調味料にこだわり、業務用調味料として、ほとんどの食品メーカーや外食産業の企業に商品を提供しています。天然調味料は加工食品においてなくてはならないものです。しかし、前面にでることのない黒子役ではあり、一般消費者が知ることはほとんどないでしょう。しかし、このアリアケジャパン株式会社さんは、東証一部上場企業であり、「知られざる超優良企業」なのです。

※    天然調味料は天然物(魚介類、肉、野菜など)を原料として、抽出、分解、発酵、調理等の工程を経て生産される調味料のことです。

小さなブルーオーシャンを生み出しているものは何なのか?

アリアケジャパン株式会社さんは1966 年の設立以来、天然調味料にこだわっています。
時代は、インスタントラーメンが出始めた頃だと思います。そこで、「化学調味料を…」というのは自然な流れ。ところが、創業者である岡田甲子男氏(現・特別相談役)は「均質な天然調味料を安定的かつ安価で提供すれば食品メーカーだけでなく、消費者からも支持される。天然調味料市場の将来性は高い」と、天然調味料だけにこだわりを持ちます。

しかし、元々は天然調味料の製造販売はあまり“うまみ”のあるものではありません。
天然調味料の生産は原材料に個体差の大きい天然物を使用し調理しなければならず、製造工程の歩留まりがなかなか上がらず、利益率が低いのです。さらに、製造工程では、常時火や熱を使用し、調理器具も大鍋を始めとして、大きく重いものが一般的で、工場勤務者に過酷な労働を強いる環境になります。

当然、アリアケジャパン株式会社さんも、当初、従業員は自らの手を使い、大鍋でアサリを煮出してエキスを抽出する労働集約的な零細企業だったわけです。さらに言えば、アサリ以外の海産物や魚介類系の調味料の製造にも乗り出し、さらに、さらに、畜産エキスの天然調味の製造にも乗り出すのです。

これだけだと、現在で言うブラック企業であり、なんとも、未来の見えないビジネスのように見えます。調味料メーカーでやっていくとしても、できれば製造工程の楽なものを選ぶ方がいいのではないかと思うのでしょう。しかし、それでは、他の調味料メーカーとなんら変わらない。レッドオーシャンに巻き込まれていたと思います。

アリアケジャパン株式会社さんは天然調味料にこだわり続け、製造方法等を工夫し、日本で初の天然調味料製造の「完全自動化」に成功するのです。

ちなみに、化学調味料などを含む調味料市場全体からすると、天然調味料の市場は大きくないそうですが、アリアケジャパン株式会社さんはそのほとんどのシェアを取っているそうです。つまり、レッドオーシャンの中における、小さなブルーオーシャンがここにあるということです。

 


佐藤洋介(さとう ようすけ)
株式会社グロウスブレイン 代表取締役

大学(日本史専攻)を卒業後、人材コンサルティング会社に16年間勤務。ソフトウェア開発会社、採用業務アウトソーシング会社、フリーランスを経て、起業。
中小企業の人材採用、研修に携わる一方で、大学での講義、求職者向けイベント等での講演実績も多数。人間の本質、行動動機に興味関心が強い。
国家資格キャリアコンサルタント、エニアグラムファシリテーター、日本酒ナビゲーター。

 

ブルー・オーシャン戦略は、未知の新大陸を探しだす作業ではありません。
新たなブルー・オーシャンは今いるレッド・オーシャンの中に無数に存在するのです。

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