君の名は

名前が重要なのである。
名前とは象徴であり、感情を呼び起こすきっかけであり、
ストーリーを想起させるキーワードでもある。
もちろん、その根本にあるのは共感性の高い物語だ。
物語に巻き込まれ、感情を揺すぶられ、
その感情が「名前」によって再び呼び起こされる。

今流行の映画ストーリーそのままだが、
これは映画の話ではない。
ビジネスの話なのである。
新しい商品、新しいサービス、新しい事業をスタートさせる。
その時に何よりも大事なのが、名前であり、
名前から想起される物語なのだ。

だがその重要性を理解している経営者は少ない。
それは、世に溢れる数々の社名や、
商品名を見てみれば明らかだ。
何も考えずに付けた名前もあるだろうが、
多くの名前にはきっと、思い入れや、愛着や、
こだわりがあることだろう。
だが残念なことに、
多くの名前はその潜在能力の10%も力を発揮していない。

たがが名前である、とは思っていないだろう。
日本人はコトバにこだわる民族だ。
もしかしたら字画に至るまで、
真剣に考え抜かれた社名や商品名も、あるのかもしれない。
だが私が言いたいのは、
そのような霊的なパワーのことではない。
ビジネスとしての戦略の話だ。

小さな会社や、小さなお店は、広告費にお金を使う余裕がない。
だからこそ、商品やサービスを象徴する名前、
その名前が持つパワーを、
最大限に活用しなくてはならないのだ。
たとえば起業するとき、社名やロゴマーク、名刺のデザインに、
資金を費やす経営者が、果たしてどのくらいいるだろうか。

自分で社名を考えたり、知り合いのデザイナーに、
ロゴやデザインを格安でお願いしたり。
つまり、出来るだけお金をかけずに、
体裁を整えようとしてしまう。
資金的に余裕がない創業時には、
ついついそのような選択をしてしまうものだ。

だがよく考えてみて欲しい。
会社を立ち上げるということは、経営者になるということだ。
経営者の仕事は戦略を考え、効果的な投資をすること。
その第一歩目の仕事が、
資本金を何に投資するのかという決断だ。
せいぜい数百万円しかない、なけなしの資本金。
それをネーミングやデザインに投資出来る経営者は少ない。
少ないとは、どういうことか。

常識的に考えれば、
そんなものにお金を使わなくてもいい、ということだろうか。
いや、そうではない。
少ないからこそ、投資効果が高いと考えるべきなのだ。
インパクトがあり記憶に残る名前。
商品やサービスの内容、会社の存在価値をイメージ出来る名前。
オリジナリティーがあり、親しみがあり、
時間と共に劣化しない名前。
名前の持つパワーを何倍にも増幅させる、ロゴやデザイン。

名前とは、見せ方であり、売り方であり、買う理由でもある。
名前を買うとは、販売力を買うことであり、
販売ストーリーを買うことであり、
未来の売上を買うということでもあるのだ。
名前はゼロ円でも手に入る。
だからこそ、たった数十万円の投資が
惜しくなってしまうのである。

 


尚、メールマガジンでは、コラムと同じテーマで、
より安田の人柄がにじみ出たエッセイ「ところで話は変わりますが…」や、
ミニコラム「本日の境目」を配信しています。
毎週水曜日配信の安田佳生メールマガジンは、以下よりご登録ください。

メールマガジン購読登録

どうすれば企業は生き残っていけるのでしょうか。私は今後、中小企業の経営は二極化していくと予想しています。それは「人を雇い続ける経営」「人を雇わない経営」です。

*私自身の経験を元に相談に乗ります。
*相談は無料(もしくは食事代)です。