// 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 // |
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。 |
《第7回》「売上を作っているのは誰なのか?」
「スタッフは会話の2割以上話してはいけない。お客さんの話を聞きなさい。」
「商品説明をしては売れない。注文した後の体験を提案しなさい。」
これは今から10年以上前、私が社員に研修で教えていたことです。
営業職を経験したことのある方ならピンと来た方もいるかも知れませんが、この内容、営業マンのセールステクニックそのもの。
なぜ飲食店を運営している会社にも関わらず、営業のテクニックを研修で教えていたのか?
それは、高い営業力は飲食業でも通用すると信じていたから。
飲食店は受け身の接客が多すぎる。
もっとお店側からお客さんが体験したことのない商品をどんどん提案して、お客さんの感動体験と同時に自社の売上を伸ばす。
これが当時の私の考えだったのです。
飲食業にセールスの要素を取り込んで、営業力の高い飲食店を展開する。
この方針、絶対にうまく行くと思っていたのです。
営業力で売り上げるお店のほころび
2007年、当時私のお店は9店舗。
営業力の研修を積み重ねてきた甲斐もあり、業績は絶好調。
どの店舗も商品を提案しながら、お客さんに新しい発見をしてもらうというスタイルで売上を伸ばし続け、気がつけば、とある高級ウイスキーの販売量が日本一の会社になっていました。
「やはり飲食店にセールスの要素を取り込んだのは正解だった。」
そう確信しました。
翌2008年には3店舗を同時出店し、さらに採用人数も増加。
ただ、一気に業績を拡大しようとした矢先に、問題が起きはじめました。
社員の離職です。
それまで多くの売上を作ってきた、営業力で売上を伸ばせる社員の離職が相次ぎ、業績は急減速。
拡大を急いだことの反動でした。
結局、2008年は創業以来初の予算未達成。
リーマンショックの影響と言えばカッコはつけられたかも知れませんが、私の会社に限って言えば、社員の営業力に頼った経営の限界でした。
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