第144回 特別な商品はどこにある?

 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

1号店を開業してからしばらくの間、私は毎日お店の営業を続けながらぼんやりと、こんな事を考えていました。

「どこかに一気に集客を増やせる商品はないだろうか。」
「そんな商品さえ見つけられれば、うちのお店も儲けを一気に増やせるのに。」

つまり、私のお店にお客さんが来ない原因の1つは、自分のお店だけの「特別な商品」がないからであり、その商品をどこかから見つけてくることがお店の稼ぎに繋がると考えていた訳です。

もしかしたら、このコラムを読んでいる方の中にも当時の私と同じことを考えている方がいるかも知れません。

でも、今から振り返ってみると思うんですよね。
「この考え方は完全に間違っていたな」と。


私が1号店で使っていた当時のメニューデータが、まだ事務所に残っています。

そんなメニューを見返して気がつくのは「今の私のお店で人気の商品は、実は当時のメニューにもすでに載っていた」という事実。

じゃあ、なぜ今よく売れている商品が、当時は売れていなかったのかと考えると、それは「商品へのこだわり不足」だったと思うのです。

1号店で営業していた頃、私は店外のどこかにお客さんを惹きつける特別な商品があると考えていました。

でも、結果的に今の人気商品が当時のメニューにも載っていたという事実から分かるのは、集客を増やせる特別な商品というのは、店外のどこかにあるのではなく、自分が今すでに持っている商品を掘り下げ続けた結果、お客さんにとって特別な商品になるのであり、求めていた特別な商品はすでに店内にあったということ。

確かに世間があっと驚くような特別な商品が登場する時があるのも事実です。

ただ、そんな商品の多くも突然どこかで見つかったものではなく、いま自分が手にしている商品を掘り下げ続ける過程や経験から生まれてきた商品ではないか、と私には思えるのです。

そう考えるのであれば、当時の私のように今ある商品に興味を持たず、お店の外ばかりに答えを求めているお店が特別な商品を手にすることなどなく、逆に店外の様子に左右されることなく今ある商品に興味を持ち、その商品を掘り下げ続けたお店こそが特別な商品を手にすることができるのではないか、と当時のメニューを見ていてしみじみ思うのです。

20年にわたり辻本が試行錯誤してきたツールの実例も見ながら店舗経営を考えるコース。
実店舗開店・運用コース(基礎編)、8月23日(火)スタート!

 著者の他の記事を見る

著者/辻本 誠(つじもと まこと)

<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/

感想・著者への質問はこちらから