こんにちは。安田佳生のゲリラマーケティング。ナビゲーターの栃尾江美です。
みなさんの日々のルーティンは何ですか?金子亜佑美です。
安田佳生です。
きょうは60歳以上の事務員の方からいただいております。利益が上がれば上がるほど、経営者の収入はアップします。でも、社員の収入はアップしません。アップしたとしても微々たるもの。とても経営者にはおよびません。しかし、問題は金額のタ……ごめんなさい、これ、なんて読むんですか?
タカ。
多寡ではない。問題はその収益構造なのです。社員の給料は会社にもたらした利益から支払われます。でも、経営者は違います。経営者の報酬は会社全体の利益から支払われます。つまり、社員が稼いだ利益と社員に支払った給料の差額、これが経営者の収入の源泉。もうおわかりでしょう、利害は一致していないのです。それはもう公然の事実なのです。以上が3月18日にメルマガで配信された内容の最後の部分ですが、ちょっとショックを受けてしまいました。いつもは納得して読ませていただいてるのですが、今回はちょっと違和感を感じてしまいました。安田さんがワイキューブを経営されてるときには、経営者と社員の利害は一致していたと思っていますが、高度成長期はベースアップもあり社員の給料も上がっていたが、いまの時代において経営者が「競争して成長しろ」というのは、いまの経営が社員から搾取することで経営者が報酬を得るようになってきてるということなのでしょうか?という質問でございます。
むずっ。
難しいですね。
難しい。
ちょっとわかりにくかったかもしれないんですけど、前半部分は質問者さんの文章じゃなく、僕がメルマガで書いた文章なんですよね。
はい。最初に言えばよかったですね。
で、それに対してショックを受けたと。納得いかない、違和感ありと。つまり、僕が書いたのは、まあ、「搾取してるよ」っていうことでもあるんですけど、経営者と従業員とは報酬をもらう構造が違うっていう話なんですよね。社員は自分が会社にもたらした利益の中から給料をもらうわけですね。
はい。
うん。
で、経営者の場合は、社員がもたらした利益の合計から給料をもらうわけですよ。わかります?
はい。
うー、うん。
会社全体として出た利益から、たとえば利益が5,000万残ってたら、「じゃあ2,000万俺は給料を取るね」っていうことができるんですけど、だけど、どんなに社長が会社に利益をもたらしたところで、全体として利益が1円も出てなかったら、社長って給料取れないわけですよ。
うん。
はーはーはー。
社員の場合はそんなことないですよね。自分が働いたら必ず給料が出るし、会社に利益をもたらせば評価されるけど、社長はそんなことないですね。
うんうん。なるほど。
はい。
社長っていうのは、1億の利益をもたらしたって、赤字だったら給料を取れないわけですよ。逆をいえば、1円も利益をもたらさなくても、社員が10億の利益をもたらしてくれたら3億給料取れるわけです、社長って。
ほぉぉぉ。
だから、「社長と社員は利害関係が一致してないよね」っていうのは、「そもそもルールが違うよね」っていうことを書いたわけなんですけど、まあ、でも、実際に搾取してるかどうかっていうのは、これは人の価値観の問題なんでわからないんですけども、構造的に、じゃあ、どうしたら社長が給料取れるかっていうと、黒字にならないと取れないんですよね。それはつまり、売上からかかった経費を引いたのが利益なわけで、かかる経費の中に社員の給料が入ってるわけですよ。
はい。
つまり、たくさん利益出してくれる人をできるだけ安い給料で雇えば、社長はたくさん給料を取れるようになるわけですよ。
おぉ。
そうですね。
もたらした利益をすべて社員に還元したら、社長は給料なんか取れないわけです。わかりますか?
はい。
そういう構造だってことなんですよ、会社というのはね。
うん。
うん。
それを「搾取」と呼ぶのか、「そういうものなんだ」っていうふうに捉えるのかは自由なんですけれども、利害関係が一致してないことはたしかだよねっていうことなんですけど。
はい。安田さんがよくおっしゃってるように、「社員をいっぱい増やして、ひとりひとりの利益を上げていけば、潤うのは会社であって社員ではない」ってよく言ってると思うんですけど、そういうことですよね。
そんなこともないですよ。両方潤うことだってあり得ますよ。
あ、なるほどなるほど。はいはい。
だから言ってるように、どんどん社員を増やして、どんどん社員に利益を上げてもらって、社員の給料を増やしていっても、それであまりあるほどの収益を会社にもたらしてくれれば、そこから経営者も給料が取れるんで、経済が全般的に伸びてるときは、そういう構造ができあがってたわけですよね。
はい。
だけど最近は、僕は人を雇うこと自体が経営者としてあんまりうまみがないと思ってまして。社員を雇って、給料を払って、社会保険料を払って、育成までして、モチベーションアップまでして……ということをやって、じゃあ会社にどれだけ利益もたらしてくれんの?っていうときに……たとえば社員が100人の会社があるとしますよね。
はい。
うん。
社員100人いる会社が1億利益出すって、結構大変なことなんですよ。
ふーん。
ふーん。
1億っていったら、ひとりあたま100万なんですよ。
利益が?
利益が。ひとり100万の利益を1年間で会社に残してくれれば、1億になるわけですよ。
はい。
実際には100人の会社で5,000万も利益出ません。
ふーん。
3,000万も出ないと思う。ひょっとしたら赤字とかも多いわけですよ。
ふーん。
だけど、たとえば年間2,000万の利益とかいったら、ひとりあたり20万しか利益出ないってことじゃないですか。
はい。
採用して、育成して、マネジメントして、給料を払って、社会保険料まで払って、1年間12か月で20万しか利益残んないってことなんですよ。
ふーん。
だから、人を雇う“うまみ”みたいなもんが、確実に経営者にとってはなくなってきてるなと僕は思いますけど。
うん。
うんうん。この方の質問だと、「時代が変わって、経営者が搾取するようになってきたんですか?」っていう質問なんですけど、それは「うまみがなくなったから、そういうことになりやすい。時代的にそうだ」っていう意味なんですかね。
違います。
違います?
そういうふうに思ってるんだと思いますけど、社員がたくさん利益をもたらしてくれるときのほうが搾取はしやすいわけですよ。
お~、たしかに。
へぇ~。
いまは搾取できるほどのうまみがないってことなんですよ。
ふーん。
ふーん。
高度成長時代が終わっちゃったから、社長は社員から搾取するんじゃなくて、搾取すらできない。
うんうん。ただ、社員側からの意識としては、いっぱい働いても、前は、いい時代はもらえていたけど、搾取されてたとしてもですね、でも、いまはあんまりもらえないから搾取されてる意識が高まっちゃった、みたいなことはあるんですかね。
たぶん、もらってる側からすればそうなんですよね。いままでは社員がもたらした利益からより多く搾取……まあ、搾取という言葉を使えばですよ、より多く搾取してたのが高度成長期で、いまは搾取する金額なんて微々たるもんなんですよ。「じゃあ、なんでこんなに給料上がんないんだ。俺から搾取してんじゃないか?」と言いたくなる気持ちはわかるんですが、まあ、社員さんひとりひとりがもたらす利益がそれだけ少ないってことなんですよ、いまの時代は。
ふーん。
なるほど。
だから、できるだけ社員の給料も上げないように抑えて、ギリギリまで切り詰めて、社員からブーブー言われながらもですね、それでも社長が搾取できる金額なんて微々たるもんなんです、いまの時代ってのは。
ふーん。
切ないですね。
だから私は何度も言ってるように、社長は人を雇うのをやめて別の利益の上げ方を考えたほうがいいし、社員も給料をもらいながら「搾取されてる」とか「給料上がらない」とか文句言うんだったら、自分でやったほうがいいっていうことですよ。
うん。
うん。わかりやすい。
どっちも文句言うなってことです。人を雇うんだったら社長も文句言っちゃいけないし、雇われてるんだったら社員も文句言うなってことですよ。
うん。
うん。なるほど。
って言ったから、この人はきっと怒ってらっしゃるんだと思いますね。
(笑)
(笑)。ちょっと怒ってんのかもしれないです。
「社長と社員がワイキューブ時代にすごい仲よさそうにやってたじゃないか」っておっしゃいますけども、それは儲かってたからなんですよ。
うん。
安田さんは搾取してたんですか?
何をもって、だから、搾取かってことなんですけど、儲かってたときにはたくさん給料を払いましたけど、だけど、払ってる給料の多寡にかかわらず、やっぱ搾取はしてたと思いますね。
ふーん。
自分がやってる仕事よりも、取ってる給料のほうが多いっていう実感が僕はありました。
おぉ。ふーん。
だから、儲かってたら搾取しても、社長もハッピーだし社員もハッピーなんですよ。
うんうん。
だけど、搾取してなくても、儲かってなかったら社員さんもアンハッピーなんですよ。
うんうん。
社長の給料がどんなに安くても、社長が1円も給料取ってなくても、自分の給料も安かったら、やっぱり不満なもんなんですよ、社員さんっていうのは。
そうですね。
そっかー。
ということで、本日のおまとめをお願いします。
難しい。搾取する・しないは捉え方にもよりますが、時代にかかわらず……です。
うん。ムズい。
(笑)
(笑)。はい。ということで本日は以上です。ありがとうございました。
ありがとうございました。
ありがとうございました(笑)
*本ぺージは、2020年7月1日、ポッドキャスト「安田佳生のゲリラマーケティング」において配信された内容です。音声はこちらから
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