第8回「ネットな時代の診察」
お医者さん
最近、ネットでいろいろ調べてくる患者さんが多いな。情報が簡単に得られるようになったからか。
お医者さん
でも、「この薬がいいんじゃないか」とか、「自分にこの薬は合わない」とか、場合によっては「私は○○病に違いない!」とか、そういうことまで言われると弱ってしまうな。「自分の体のことは自分が一番わかってる!」って思う気持ちもわかるが、こちらの意見も聞いてほしい…
ああ〜、本当に多いですよね。自分で病名決めてくる患者さん。
絹川
お医者さん
…君は?
ドクターアバターの絹川です。お医者さんの様々な相談に乗りながら、「アバター(分身)」としてお手伝いをしています。
絹川
こんな時代ですから、 体の調子が悪かったらまずはネットで検索、になりますよね。
絹川
お医者さん
…そうなんだよ。まあ、気持ちはわからなくもないんだが。
でも、先生が問題と感じてらっしゃるのは、調べてくること自体ではなく、その情報にとらわれて、先生の言葉が届かなくなってしまうことですよね。
絹川
お医者さん
そうそう、そうなんだよ。ネットには間違った情報も載っているし、心配なんだ。
確かにそうですよね。でも考え方によっては、この状況はチャンスだとも言えます。
絹川
お医者さん
ん? どういうこと?
つまり、ネットを使えるのは患者さんだけじゃない。先生だって使っていいということです。
絹川
お医者さん
私が、ネットを使う?
そうです。先生がブログやSNSなどを通して、患者さんが抱える不安を解決するような記事をアップしていくんです。
絹川
お医者さん
なるほど…。患者さんがネットを頼る状況を逆手に取るわけだ。
仰るとおりです。いわば先生は「ネット上のかかりつけ医」になるわけです。先生の情報をよく見に来てくれる人が受診したら話が早いじゃないですか。
絹川
お医者さん
確かに!診察もかなりスムーズになるだろうね。
さらに言えば、ネットでの配信を頑張っていけば、やがて先生を中心としたコミュニティもできてきます。彼らは要するに、見込み客です。
絹川
お医者さん
見込み客? ネットの読者がかい?
そうです。この先に具合が悪くなったり病気になったとき、先生に診察してもらいたいという思う人を増やしておくのです。信頼度が高ければ、多少遠方でも患者さんはやってくる時代です。
絹川
お医者さん
…なるほどなあ。考えてもみなかった。
インターネットというのはもはやインフラに近いツールです。それをうまく活用する病院が勝ち、活用できない病院は廃れていく。もはやそれは必然だと言えますね。
絹川
医療エンジニアとして多くの病院に関わり、お医者さんのなやみを聞きまくってきた絹川裕康によるコラム。
著者:ドクターアバター 絹川 裕康
株式会社ザイデフロス代表取締役。電子カルテ導入のスペシャリストとして、大規模総合病院から個人クリニックまでを幅広く担当。エンジニアには珍しく大の「お喋り好き」で、いつの間にかお医者さんの相談相手になってしまう。2020年、なやめるお医者さんたちを”分身”としてサポートする「ドクターアバター」としての活動をスタート。