原因はいつも後付け 第59回「カッコつけない強み」

 // 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 //
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

《第59回》カッコつけない強み

さて、今回はいつもとちょっと違った切り口のお題について考えてみたいと思います。
そのお題というのが「カッコつけない」ことの重要性について。

私たち商売をする人間はふと、周りから「カッコいい」とか「スゴい」と思われたいと考えてしまうものではないでしょうか?確かに、周りからそう見られたほうが商売もうまくいきそうに思えるので、これは仕方のないことかも知れません。

ただ私、思うんですよね。
周りからカッコいいとかスゴいと思われようとすればするほど、実は商売で成果を上げるのは難しくなってしまうんじゃないかって。


《カッコつけると失うもの》

カッコつけようとするほど商売で成果を上げるのは難しい、と私が考える理由。
それは、失敗した姿を周りに見せられなくなってしまうから。

商売で成果を上げ続けるためには、程度の大小はあれど、絶えず新しいことに挑戦し続ける必要があると私は思います。商売の継続には変化し続けていくことが欠かせないので、これに異論のある方は少ないのではないでしょうか。

ただ問題なのは、新しい挑戦には失敗がつきものであり、失敗した姿を見られないようにするためには、新しいことに挑戦すること自体を止めなければいけないということ。

これはつまり、カッコつけようとするほど新しい挑戦をするチャンスを失ってしまうということであり、逆に言うならカッコつけようとせず、失敗した姿を見せられる人ほど新しい挑戦をするチャンスを得られるということだと思うのです。

《応援される強み》

そして私が考える、カッコつけない事のもうひとつの強み。
それが周りの人たちからの応援。

私は冒頭で、「カッコいい」とか「スゴい」と思われようとすることについて、「確かに周りからそう見られたほうが商売もうまくいきそうに思える」と書きました。

でも、これって本当なのでしょうか?

周りの人からスゴいと思ってもらおうとして挑戦しない人と、周りの人を気にせず成果を上げるために挑戦し続ける人。

このどちらを応援したくなるのかと考えたら、私は後者を応援したくなります。そして、これは私の知る限りではありますが、商売で成果を上げている人の周りには必ず応援してくれる人たちがいるという事実があり、周りの目を気にして挑戦しない人が応援してくれる人を集めることなんてできないと思うのです。

つまり、周りから見たカッコよさなんて気にしない人ほど、新しいことにも挑戦ができ、その挑戦する姿を応援してくれる人たちが集まってくるから、結果的に成果も上がりやすくなるのではないか、ということ。

そう考えれば、商売における強さとは、他人の目を気にしてカッコつけることではなく、むしろ他人の目を気にせずカッコつけないことこそが本当の強さであり、その強さこそが、実は本当のカッコよさなのかも知れません。


18年前の創業時、私がチラシ配りをしていた1号店最寄りの駅前広場。
正解が分からなくても挑戦を続けることが成果を上げるために不可欠だと思うのです。

 

著者/辻本 誠(つじもと まこと)

<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/

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