赤い出口、青い出口 第31回「組織からのメッセージ」

このコンテンツについて
自覚して生きている人は少ないですが、人生には必ず終わりがやってきます。人生だけではありません。会社にも経営にも必ず終わりはやって来ます。でもそれは不幸なことではありません。不幸なのは終わりがないと信じていること。その結果、想定外の終わりがやって来て、予期せぬ不幸に襲われてしまうのです。どのような終わりを受け入れるのか。終わりに向き合っている人には青い出口が待っています。終わりに向き合えない人には赤い出口が待っています。人生も会社も経営も、終わりから逆算することが何よりも大切なのです。いろんな実例を踏まえながら、そのお話をさせていただきましょう。

第31回 組織からのメッセージ

【慣例がなくなっていく】

個人の時代と言われて少しばかりの時間が経過しました。
私なんかは調子に乗って、独立なんかしちゃった側の人間です。
いわば、組織が育ててくれた恩義もそこそこに、
自分の心地よい人生やチャンスを求めて、
今ここにいるわけです。
それでもなお、恩義になった中小企業に出入りさせてもらい、
あーでもない、こーでもないと言いながら、
世界の隅っこで自己主張を続けています。

最近は企業や組織からの意図や方針の明確化を感じます。
組織も考え方というものがあって、
それが経営方針として明確に出てきたのではないかと感じるのです。

それはどういうことか。
企業は、個人に対しての副業や自由な勤務形態、
リモートワークなどを容認することと引き換えに
旧来維持してきた慣例をなくそうとしてきたように感じるのです。

【プロ野球球団では】

例えば、
プロ野球の球団で長く球団に貢献してきたプレーヤーが、
戦力外通告を受けても、他球団への移籍の道を探すということが
目につくようになりました。
「まだ成果が出せる。プレーヤーでいたい。」
という個人の意思をつらぬく行動のように見えます。

球団や組織側からみると、
今までなら、功労者だからという理由でコーチの椅子を用意したり
話し合いでフロントに招き入れていれていました。
それが、これからの球団運営のために、
論功行賞的なポストを強く推し進めないように
なってきているともいえます。
これは、今までの年功序列や終身雇用の見えない常識や慣例は、
もうないのだと教えてくれているのではないでしょうか。

ここで問題となっているのは、
能力があるかないか、やれるかやれないかではありません。
組織の未来を明確化して、
それに賛同するかどうかの方針の提示です。

【慣例がなくなると】

外部から一般の企業をみると、
優秀な方や能力の高い方がたくさんいます。
どの企業にお伺いしても、
技術の優れた方やマネジメントに長けた方、
サポートの行き届いた方など、
本当に素晴らしい方がいらっしゃいます。

「私は先を見越して周りの人のフォローができます」
「上手にマネジメントしてきました」
「私のノウハウは会社に貢献しています」

間違いないことです。
会社も社長も上司もそう思っています。
ただ、その主張は年功序列や終身雇用などの慣例でこそ
成り立った主張だと気づかなければなりません。

今、個人に要求されているのは、
組織の明確化されつつある未来を共有して、
自身の知識やマネジメント経験、サポート力が
組織にプラスになるのか否かを要求されているのです。
しかも、それを証明するのは、
自由な働き方を容認された、個人に求められるようになっています。


【全体最適の中で】

はんこの廃止もオンライン化も、
DXも組織全体を最適化しようという試みです。
プロ野球も従来の慣例をなくしながら、最適化しているのです。
それは、個人が組織と調和していかなければならない
大きな流れだと考えます。

この個人の時代において組織に所属するなら、
組織が雇用や給料を「保証」するという慣例に依存した、
自身の考えをあらためる必要がありそうです。

個人の時代に企業側が最適化し、慣例がなくなろうとしている今、
個人も自分自身の将来の出口は、明確化しないといけません。

私たちは組織からのメッセージに、
答えなければならないときがやってきたようです。

 


- 著者自己紹介 -

人材会社、ソフトウェア会社、事業会社(トラック会社)と渡り歩き、営業、WEBマーケティング、商品開発と何でも屋さんとして働きました。独立後も、それぞれの会社の、新しい顧客を創り出す仕事をしています。
「自分が商売できないのに、人の商品が売れるはずがない。」と勝手に思い込んで、モロッコから美容オイルを商品化し販売しています。<https://aniajapan.com/>
売ったり買ったり、貸したり借りたり。所有者や利用者の「出口」と「入口」を繰り返して、商材を有効活用していく。そんな新規マーケットの創造をしていきたいと思っています。

出口にこだわるマーケター
松尾聡史

感想・著者への質問はこちらから