// 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 // |
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。 |
《第68回》売れているお店に見える共通点
自分のお店を開業する。
自分の商売を始めてみる。
こんな時、程度の大小はあれど、誰もが期待を抱いて商売を始めるのではないでしょうか。
これは私もそうでした。
開業後の繁盛を期待して、自分の収支予測を立てる。
自由に決められる時間とお金。
そんな期待に、とてもワクワクしていたことを今でもよく覚えています。
ただ現実を見てみると、飲食店は開業して数年で約9割が廃業すると言われる業界。
つまり、開業時の私が全く期待通りにならなかったのと同様に、ほとんどのオーナーの期待は、そう簡単に叶うことはない訳です。
そんな現実を目の当たりにした時に、多くのオーナーが考えるであろうこと。
それが「他のお店と比べてどこが悪いのか?」ということです。
「他のお店と比べてどこが悪いのか?」
多くのオーナーがこう考えるにも関わらず、結果的に9割のお店が廃業してしまうという事実。
この事実から私が思うこと。
それは、「他よりどこが悪いのか?という問い自体が間違っているのではないか」ということ。言い換えるなら、「他と比べて悪いところを直したとしても、売れるようにはならないのではないか」ということです。
なぜ、そう考えるのか?
その理由は、繁盛店を見ていて感じる、ある共通点なのです。
その共通点とはお店それぞれの、他にはない「何かがある」ということ。
これは逆を返して考えるのであれば、商売がうまく行かずに悩んでいるお店は、どこかが悪いのではなく、他にはない「何かがない」ということです。
あるものは比べられるけど、ないものは比べようがありません。
だから他との比較の中から答えを見つけようとしている限り、気づくことが出来ないのです。
商売がうまくいくお店とうまくいかないお店の違いは、他にはない「何かがある」のか、「何かがない」のかの違いだということ。
ここまで読んで、こう感じている方もいらっしゃると思います。
じゃあ、繁盛店が持っている、他にはない「何か」って具体的には何なのか?と。
でも、その答えを知ろうとするのは止めた方がいいのかも知れません。
なぜなら、その答えを知ろうとすること自体が、他のお店と自分のお店と比べようとしていることの始まりだから。そして、他にはない「何か」とは比べられるものではなく、自分で作るものだと思うからです。
ちょうど1年前の2020年1月にオープンした店舗にて撮影。
比べることでは見つからない、お店それぞれの「何か」を作り出すのが商売の面白さだと思います。
著者/辻本 誠(つじもと まこと)
<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/