第166回「日本は資本主義のゴール?」

この記事について

2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。

前回は 第165回「夢は世界の下請け工場」

 第166回「日本は資本主義のゴール?」 


安田

日本は借金大国ですけど、一方で家計の金融資産が2,000兆を超えたそうです。

石塚

ですね。

安田

ネットを見ても、新聞を見ても、みんな「お金ないぞ」って言ってるのに。

石塚

日本の借金に関しては、なんの問題もないと思ってます。国債発行してるけど日本銀行が買い受けしてるから。

安田

借金に関しては「問題ない」って人もいますよね。家計の資産が増えてることに関してはどうですか?なんか違和感があるんですけど。

石塚

そうですか。僕はまったく違和感ありませんけど。

安田

だって平均年収はどんどん減ってますよ。初任給もずっと上がってなくて。どうやって貯金が増えるのか。

石塚

いつも言ってる通りですよ。みんな使わなくなってるってこと。

安田

それはお金がないからでしょ。

石塚

それもありますけど、そもそもそんなに欲しいものが、もうなくなっちゃったんですよ。

安田

「ギリギリの生活してる」ってネットには出てますけど。

石塚

ギリギリの生活をして貯金してるんでしょ。

安田

せめて投資でもして増やせばいいのに。

石塚

日本人に投資って無理なんでしょうね。

安田

向いてないってことですか。

石塚

貧困問題の根っこって、僕は日本の教育問題にあると思ってますから。

安田

へぇ~、教育ですか。

石塚

小学校とか中学校で、「お金を借りると、こういうふうな計算式で利息がつくよ」とかって一切教えないじゃないですか。

安田

お金を借りるのは悪だと思ってるから。

石塚

その割にキャッシングとかを軽々しくやる。複利ってことを忘れてるし。複利12%ってどんだけ恐ろしいか。

安田

真面目な人は借金もしないし、投資もしないんでしょうけど。

石塚

いちばんの問題は、正しい情報を学ぶことなく社会生活を始めてしまうことです。

安田

投資とかお金のこととかを学校で教えるイメージがわきません。

石塚

絶対には教えたほうがいい。生きていくために最低限必要な知識ですよ。

安田

お金の科目とかを作った方がいいですか。

石塚

そう思います。「もしお金がなくなったら、こういうところに相談をしましょう」とか。「安田さんのYouTubeを1から10までよく見ましょう」とか。

安田

(笑)

石塚

いや真面目な話ですよ。「職業って、みんなひとりずつ作れるんだよ」っていう、安田さんのああいう発想も習った方がいい。

安田

ありがとうございます。

石塚

「私にとっての小さなブルーオーシャンはなんだろう」とか、そういうこと誰も考えないじゃないですか。

安田

誰もそんなこと教えてくれませんからね。

石塚

絶対的に貧しくて、なかなか光が当たらない社会の貧困問題もある。だけど何がそれをつくりだしてるのかっていったら、僕は学校教育だと思う。

安田

そうかもしれませんね。

石塚

安田さんが「売上は買うものですよ」とかって言っても、「は?」みたいな話になるじゃないですか。

安田

子供がそれを理解できたらすごいですけど(笑)

石塚

そもそも聞こうとしない。「ごめんなさい、ちょっとよく分かんないです」「っていうか、そういう話怖いんでやめてください」みたいな。

安田

そうなりますよね、どうしても。

石塚

その割にはキャッシングとかしちゃったりして。

安田

積み立て保険に大量に入ったり。

石塚

おっしゃる通り。

安田

でも国民に貯金があるってことは、いずれ持ってる人がお亡くなりになったら相続税として国に入りますよね。

石塚

一定以上の資産があればそうなります。

安田

そしたら国の借金とチャラになっていくので、借金問題も解決するんじゃないですか。

石塚

長い目で見たらそうですね。税法上は3代でぜんぶ国のものになりますから。

安田

3代でぜんぶ?

石塚

はい。だから国の借金に関してはそんな心配するようなことでもない。

安田

政治家も「いずれチャラにできる」ぐらいに考えてるんでしょうか。

石塚

と思いますね。それよりも大きな問題は、会社というコミュニティが強烈すぎたこと。

安田

親子3代会社員とか。

石塚

そう。もう何十年も日本人は自分の足で立って稼ぐってことをやってない。

安田

私もずっと言い続けてるんですけど。

石塚

まあ、いざとなったら生活保護申請すればいいし、日本ではいくらでも安い生活ができるから。

安田

おっしゃる通り。ランチなんて千円以下で山盛り出てきます。

石塚

自分で自炊すれば1万円ぐらいの食費で1か月食えるじゃないですか。

安田

お惣菜も小分けにして売ってるし。

石塚

節約生活の動画もYouTubeにいっぱいありますよ。

安田

デフレってまだまだつづいていくと思いますか。

石塚

だって日本人はデフレ好きですもん(笑)

安田

これだけ貯蓄が増えるってことは、お金を使わないってことですからね。みんな安いものが好きってことですね。

石塚

そのとおり。

安田

「みんなで高いものを買おう」って言っても買わないですもんね。

石塚

稼ぐより使わない方が楽だから。

安田

日本人は凄い選択をしましたね。デフレになるのも当然という気がしてきました。

石塚

やっぱり学校教育ですよ。効果的なお金の使い方なんて教えないから。

安田

みんながお金を使わないと、誰も豊かにはなりませんけど。

石塚

縮小均衡でみんな貧乏になっていくでしょうね。

安田

「給料が増えて景気も物価も上がっていく」っていうのと、「給料は下がるけど物価も下がっていく」っていうのと、考えてみたら同じですけど。

石塚

おっしゃる通り。不動産を買わないという選択をすれば問題ないんです。いまは空き家もいっぱいあるから月2万もあれば借りられる。

安田

田舎に住んでも仕事はあるんでしょうか?

石塚

300万〜350万の仕事だったらいっぱいあります。田舎だったら300万もいらないし。

安田

そしたら、ますますデフレになりますね(笑)

石塚

たぶん日本人はこういうのが好きなんですよ。

安田

たしかに。節約とか貯金とか大好きですもんね。

石塚

それで結構幸せだったりして。残業もないし。

安田

もうバブルは来ませんか?

石塚

あの頃が異常だったんです。これが日本人のスタンダード。

安田

江戸時代はずっとこうだったんですもんね。

石塚

日本はある意味ゴールに到着したってことです。「資本主義のゴールに到着したから、これからは楽しく暮らそうぜ」「いいよ、べつに金稼がなくても」って。

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石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。

安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

 

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