その124「個性を発揮するなら、それが許容されるかどうかの見極めも大事」

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なぜこんなツマラナイものにこだわるのだろう。そういう「ちょっと変わった人」っていますよね。市川さんはまさにそういう人。でもそういう人が今の時代にはとても大事。なぜなら一見ビジネスになんの関係もなさそうな、絶対にお金にならなそうなものが、価値を生み出す時代だから。凝り固まった自分の頭をほぐすために、ぜひ一度(騙されたと思って)市川ワールドへ足を踏み入れてみてください。

「個性を発揮するなら、それが許容されるかどうかの見極めも大事」

僕、趣味で格闘技(空道)をやっていますが、出張のタイミングでそのエリアにある支部に出稽古に行くんです。
コミュ障なのに謎の行動力があって、申し込んでから、いつもドキドキしちゃうんですけどね(苦笑)
先日も総本部と東京都内の支部に出稽古させていただきました♪
同じ武道団体でありながら、指導者の個性がかなり出ていて、稽古内容も支部によって若干違って面白いんです。
指導内容によって、戦い方や構えに特徴が出て、「あれは、◯◯支部っぽいな」と分かるほどで興味深いです。

ただ、これは企業経営の目線で見ると、「品質が不安定」とも言えますよね。
例えば、McDonaldは世界中のどこに行っても同じ味です。(少なくとも僕の舌ではそう感じられました)
ある店舗のチーズバーガーは、他の店舗よりもこってりしている・・・ということはないわけです。
経営という点では、個性を許さずマニュアルを作って、画一的な指導を心がけた方が、指導者の能力依存度を下げることができ、品質を安定させるのには効果的ですよね。
単純に多店舗展開する場合には、この方が効率も良さそうです。

ですが、イチ顧客の目線から見ると、「品質が不安定」というのは、ある側面では面白みでもあります。
例えば、「餃子の王将」には餃子の王将メニュー以外に、店舗独自のメニューが許されていますね。
何気なく入った餃子の王将で、「あれ?こんなメニュー、近所の王将にはないぞ!?」となるわけです。
中には、「餃子の王将の中で、日本一メニュー数が多い店」というブランディングをしている店舗もあって興味深いです。
SNS全盛の時代において、「行ってみた」とアップしたくなる心理を上手く突いていますよね。
最近では、「めちゃくちゃ自己主張高いすき家」という看板の数が凄まじい店舗が話題になりました。
ちなみにすき家はフランチャイズをやっていませんから、運営企業に属する社員さんの個性であり、それを許容した運営企業の個性とも言えます。
実際のところ、三角州のような立地のため、様々な角度から視認できるように配置したところ、そうなってしまったようですが。にしても・・・な看板ですw
SNSなどでこの看板を知った方々は、「景観が悪い、けしからん!」とはならずに、「サイバーパンクっぽい」とか面白がる声、ポジティブな反応が多く見られました。

特定の支部や店舗だけで得られるコト/モノがあるというのは、ファン心理をくすぶりますね。
文字通りご当地限定ですしね。
ただ、「(本部として)どこまで許容するか?」「(支部、店舗として)どこまで個性を出すか?」のさじ加減はポイントになりそうです。
そもそも「餃子の王将」だから行くという方も多いでしょうから、あくまで「餃子の王将」と認知されていないといけません。
個性を出しすぎて、「餃子の王将」に見えなかったら、本末転倒です。

ちなみに、フィリピンのMcDonaldで人気なのは、グレイビーソースをぶっかけたフライドチキンとご飯のセットですw
ハンバーガーよ、一体どこ行った?
フィリピンでは「フライドチキン」「グレイビーソース」「ご飯」がメニューにあることは、飲食店(ファストフード店)の最低条件と言っても過言ではありません。
そのため、どこの飲食店にも必ずこれらのメニューは置いてあります。
ですから、KFCにも「ご飯」ですw
フィリピンの外食マーケットにおいて、これら三種の神器は必須で、これがないと成立しないと言っても過言ではありません。
当然、パラッパラのフィリピンのお米に、グレイビーソースをかけて、ぐちゃぐちゃ混ぜて食べるという体験は、日本では不可能で、フィリピンでしかできないわけです。(したいかどうかは別だけど)

このとき、市場に許容される個性を見極めるって大事ですね。
フィリピンの例は、フィリピンの市場が許容を認めた、待望された個性なわけです。
日本だったら「McDonaldやKFCにご飯は無いわぁ(汗)」と、認められないかもしれません。
フィリピンを訪れた僕の知人・友人の全ての方が、「え!?なんでご飯!?」と驚いていますからw
フィリピンに行ったら、是非、彼らの個性を体験してみてください。

 

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著者/市川 厚(いちかわ あつし)

株式会社ライオンハート 代表取締役会長
https://www.lionheart.co.jp/

LH&creatives Inc.(フィリピン法人) CEO
https://lionheart.asia/

<経歴>
三重県の陶芸家の家に生まれる。
(僕が継がなかったので、父の代で終焉を迎えることになる…)
大学時代、遅めの中二病を発症。経済学部に入ったのに、何を思ったか「ファッションデザイナーになるんや!」と思い立ち、大学を中退。アパレル企業に就職。
ところが、現実は甘くなく、全く使えない僕に業を煮やした社長から、「Webサイト作れないとクビだからな!」と言われ、泣く(T_T)パソコンの電源の付け方も知らなかったけど、気合でWebサイト制作を習得。しかし、実際のところは、言い訳ばかりで全く成長できず・・・怒られて、毎日泣く(T_T)そんな頃、「デザインにも色々ある」と改めて気づいて、広告業界へ転職、広告制作会社のデザイナーとしてのキャリアをスタート。
「今度は言い訳をしない!」と決めて仕事に没頭し、四六時中仕事していたら、黒目がめくれ上がってきて、眼科医から「失明するよ」と言われ、ビビる。2004年勤務先で出会った同僚や友人を誘って起業、有限会社ライオンハートを設立(現 株式会社ライオンハート)。ところが、創業メンバーとあっさり分裂、人間不信に。残ったメンバーと再スタート。
2014年、設立10周年を機に、創業メンバーで唯一残っていた人間を日本法人の社長にし、自身は会長になり動きやすい状態を創る。この頃からブランディングエージェンシーを名乗り始める。
2016年、フィリピン(マニラ)にITアウトソーシング企業(LH&creatives Inc.)を設立。設立準備期間から家族とともに移り住み、フィリピンで3年半を過ごす。
フィリピン人マネジメントを通して、猜疑心の塊になり、性悪説に変わる。
2019年6月、日本に帰国し、日本法人のマネジメントに復帰。社内コミュニケーションを充実させるために席替えしたり、誰も掃除しない椅子をきれいにしたり、「眠いときはしゃべった方が良いよねッ」ってスタッフに話しかけながら仕事をするなど、独自のインナー・ブランディングの理論を実験していたところ、会社の調子が上がった。そもそもブランディングってなんだ?と思っていたところに、BFIの安田さんと出会い、勝手にご縁を感じてコンサルを受けてみる。そしたら安田さんに誘われ、2020年、anote konoteに参加することに。

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