第107回 「「騙された!」と言う人は、次もきっと”騙され”る。」
お医者さん
まったく、集客コンサルが聞いて呆れる。言う通りにやったのに全然効果が出ない。騙された!
お医者さん
ともあれ、集客自体をやめるわけもいかないし……しょうがない、別のコンサルを探してみるか。
いや、どうですかね。結局また「騙された!」となる気がしますよ。
絹川
お医者さん
む? いや今度こそ「いいコンサル」を見つけてみせる。前回のような詐欺師まがいの男じゃなくてな。……というか君は一体誰だ。
はじめまして。ドクターアバターの絹川といいます。お医者さんの様々な相談に乗りながら、「アバター(分身)」としてお手伝いをしている者です。
絹川
お医者さん
お医者さんの相談に乗ってるってことは……もしかして君、集客のコンサルもできるのかね? ちょっとウチの集客を何とか……
ちょっと待ってください先生。そうやって第三者を必要以上に頼ってしまう姿勢こそ、最初に見直すべき点だと思っているんですよ。
絹川
お医者さん
んん? いや、さっきから何を言っているんだね君は。私は医療のプロではあるが、集客のプロじゃない。そこで専門家を頼るのは当然じゃないか。
もちろん集客コンサルの持つ知識や経験を活用することは重要です。しかし、そもそも集客に絶対的な正解はなく、自分の病院に合った戦略を選んでいかなければなりません。
絹川
お医者さん
自分の病院に合った戦略?
はい、地域性やターゲットによっても変わってきますし、それ以前に、例えばSNSが苦手な人しかいないのにSNS集客をメインにしたらうまくいくはずがありません。
絹川
お医者さん
む……まあ、確かにそうかもしれんが。
一方のコンサルは、自分の得意分野で成果を出したいと考えます。というか、それをわかった上でクライアントは自分に依頼しているのだと考える。先生もこのご様子だと、「とにかく君に任せる!」というスタンスで話をしていたんじゃないですか?
絹川
お医者さん
まあ……最新のマーケティング手法で結果を出すと言っていたからな。そういう分野に疎い私が口を出しても仕方がないだろう。
いや、その分野に疎くても、丸投げはダメです。少なくともそのコンサルが「どういう手法でどのように集客しようとしているのか」「それはどれくらいの成果を想定できるのか」については把握しておかなければなりません。わからなければ本人、あるいは別の方に聞く。自分が何にお金を払っているのか正しく理解していなければ、本来、結果も正しく検証できないはずなんです。
絹川
……かく言う私も過去、コンサルや銀行に丸投げして痛い目にあったことがあります。それでこれではダメだと思い直し、自分で学ぶようにしたんです。
絹川
お医者さん
……ということは、私自身がある程度の知識を持つ必要があるということかね。
そうできればベストですし、そういったジャッジを行う人を院内に置くのもアリです。つまり、コンサルの言っていることを先生が理解できる形に「翻訳」してくれる社員を雇う。
絹川
お医者さん
なるほど。まあいずれにせよ、私自身が戦略を理解していない状態っていうのはよくないな。
はい。自分で経営している病院なんですから、最終的には自分が何とかするというスタンスで臨まなければなりません。その過程で専門家の知識や経験を活用することもあるでしょう。ただ、いずれにせよジャッジするのは病院側、先生側です。
絹川
お医者さん
なるほど……そう考えると、「騙された」という言葉が出る時点で、丸投げしていたんだなとわかるな。内容を理解し自分でジャッジしていれば、「失敗した」はあるかもしれないが、「騙された」とは思わないものな。
そういうことです。今の状態では、何度コンサルを変えても先生は「騙された」と言いかねません。ですから、ある程度の基礎知識を得、自分や社員がジャッジできる体制を作ることの方が重要だと思います。
絹川
医療エンジニアとして多くの病院に関わり、お医者さんのなやみを聞きまくってきた絹川裕康によるコラム。
著者:ドクターアバター 絹川 裕康
株式会社ザイデフロス代表取締役。電子カルテ導入のスペシャリストとして、大規模総合病院から個人クリニックまでを幅広く担当。エンジニアには珍しく大の「お喋り好き」で、いつの間にかお医者さんの相談相手になってしまう。2020年、なやめるお医者さんたちを”分身”としてサポートする「ドクターアバター」としての活動をスタート。