第110回「商標を登録する理由」

このコラムについて
世の中の情報は99%が「現在」または「過去」のものでしょう。たった1%の未来情報をつかめる人だけが、自分のキャリアやビジネスを輝かせるのです。でも、未来情報なんか手に入らないよ!と思ったアナタ。ご安心を。もしアナタが古い体質の会社に勤めているなら超ラッキー。そんな会社の経営者ならビジネスがハネるかも。

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 第110回  「商標を登録する理由」

先日ある経営者の方と飲んだ時に聞かれました。「なんで商標登録が必要なの?」
これは、“あるある”質問ですが、自社のネーミングやロゴを安全に使用できる、というのが何といっても一番の理由だろうと思います。

1. 有効なコミュニケーションツール
スマホが普及して、画面がどんどんスクロールされる中で、一瞬で消費者の目を引き付けられるロゴやネーミングの価値は、これまでに無いほど増大しています。これを法律で守れるのに、守らない手はありません。
逆に、法律上の安全が定まっていない状態で使うのはリスクが大きいです。ネットやSNSで消費者に訴求することが当たり前の現代で、仮に他社の権利を侵害していた場合、ネットの拡散力により、受けるダメージも大きくなります。

2. ブランドが蓄積する価値ある資産
ロゴやネーミングといった商標は会社の資産です。商標に信用が備わり、ブランドとして確立されると、売り上げの向上や社員の採用にも好い影響があります。
こういったブランドを、法律で守るために商標登録がある訳ですが、自社で手続きをすれば、数万円~(特許庁の印紙代)で10年間の権利を得られます。しかも半永久的に権利の更新が出来るので、費用を払い続ける限り、ブランドを安全に蓄積しつづけることができます。
お金も時間もかけて、時に社外のプロに依頼をして作ったネーミングやロゴを守るのに商標を活用してください。

3. 模倣者への対抗
自社による安全な使用の他に、模倣者を排除することも可能です。
ビジネスが成功し、模倣者が出てきたときに、権利がないとクレームをつけることができません。模倣者が使っている名称/ロゴと自社のそれとが法的に類似するか否かはケースバイケースですが、権利をもっていれば、少なくとも警告やクレームをつけることができます。これは法的に認められた正当な権利です。逆に権利がなければ、ほぼ何もできません。
模倣者に警告すらできないことを心情的に許せるでしょうか。

もちろん商標登録がすべての課題を解決するわけではありません。ですが、商品の入口であるネーミングやロゴを保護する価値は、これまでにないほど高まっていると言えるでしょう。ぜひ商標登録を検討してみてください。

 

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 この記事を書いた人  

八重田 貴司(やえだ たかし)

外資系企業/法務・知財管掌。弁理士。
会社での業務とは別に、中小・ベンチャー企業への知財サポートをライフワークとする。クライアント企業が気づいていない知的財産を最大化させ、上場時の株価を上げたり、高値で会社売却M&Aをしたりと言った”知財を使って会社を跳ねさせること”を目指す。
仕事としても個人としても新しいビジネスに興味があり、尖ったビジネスモデルを見聞きするのが好き。

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