第93回「Relativity Space」

このコラムについて
世の中の情報は99%が「現在」または「過去」のものでしょう。たった1%の未来情報をつかめる人だけが、自分のキャリアやビジネスを輝かせるのです。でも、未来情報なんか手に入らないよ!と思ったアナタ。ご安心を。もしアナタが古い体質の会社に勤めているなら超ラッキー。そんな会社の経営者ならビジネスがハネるかも。

未来コンパスが、あなたの知らない未来を指し示します。

 第93回  「Relativity Space」

バケットリスト(生きている間にやりたいことリスト)を友人と共有して達成意欲を高めています。その中には、「アフリカの大地を踏む」といった未知の場所への旅が含まれますが、最近見返すと、対象が狭かったなと感じます。「宇宙」が抜け落ちていたからです。

ZOZOの前澤さんが搭乗予定のスペースX宇宙船は、これまでより安価なコストで製造されるようですが、さらにコストを低減できそうな宇宙船が出てきました。ほぼ3Dプリンターで作る宇宙船です。


米国商標登録第5967725号(出願人:Relativity Space)
【商標】
RELATIVITY SPACE
【指定商品/指定役務】(抄訳)
宇宙船 など


Relativity Spaceは宇宙ロケットを製造するために、世界最大の金属用3Dプリンターを自社で開発しています。スペースXや他の民間ロケット企業も3Dプリンターを使用していますが、Relativity Spaceの場合、エンジンを含む部品の90%以上を3Dプリンターで製造しています。さらに、部品点数を大幅に削減。一般的な液体燃料ロケットのエンジンは数千の部品で構成されるところ、同社のロケットエンジン「Aeon」の部品数はわずか100個。サプライチェーンもシンプルになり、60日ほどで(!)宇宙ロケット1基ができ上がる計算です。

未来コンパスが指すミライ

このスピード感だけでも十分にすごいですが、驚きなのは宇宙ロケットの製造が彼らの最終ゴールではないことです。
目標は「火星における産業基盤を向上させること」。人類が生活するための必要な物資をすべて地球から火星に運ぶのは現実的ではありません。そこで、3Dプリンターを火星に設置し、“現地調達”してしまおうという考えです。
彼らが保有する3Dプリンターは、AIによって製造の指示がなされているとのこと。特許も出願されています。部品を作るたびに精度があがり、将来的には、自らミスを修正することが期待されています。自律的な3Dプリンターが火星において人の手を介さずに製造するカギとなるのです。

火星での産業構築を考え、具体的に装置を作っている会社があるのですね。
ビジネスのグローバル化などと言われていますが、いずれユニバース化と言われる日が来そうです。知財は国ごとに権利が発生するものですが、宇宙における知財権を取得するミライが来るでしょうか。
 

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 この記事を書いた人  

八重田 貴司(やえだ たかし)

外資系企業/法務・知財管掌。弁理士。
会社での業務とは別に、中小・ベンチャー企業への知財サポートをライフワークとする。クライアント企業が気づいていない知的財産を最大化させ、上場時の株価を上げたり、高値で会社売却M&Aをしたりと言った”知財を使って会社を跳ねさせること”を目指す。
仕事としても個人としても新しいビジネスに興味があり、尖ったビジネスモデルを見聞きするのが好き。

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