社員に承継するかは、1回検討はしたほうがいいと思うんだよ。っていうのが、社員は株を買うほどのお金ないでしょ。
まあ、普通そうですよね。
まあ、わかんない。逆にいえば、社員が貯金で買えちゃうぐらいの株価の会社だったら、社員に継いでもらったほうがいいのかもしれん。
うんうんうん。
言い方はすごい失礼だけど。だって、そのぐらいの純資産なんだから。で、よくやるのは、ひとつは退職金で株価を下げるっていう。
なるほど。退職金を取って?
社長が退職金を取って退職して、純資産をごそっと抜いて。
抜いて?言い方はあれですけど(笑)
いや、でもそうよ。抜くけど、抜くから会社を運営できない可能性があるので、これは銀行調達なのか、社長が貸し付けるっていうケースもあるよね
ああ。
退職金は取るんだけど、未払いにするとかで下げる。
はいはいはい。
財務が悪くなってる会社を引き継ぐことになるので、それなりに大変。これもケースバイケースだよ。大変という見方もあれば、めちゃめちゃ収益性が高ければ、純資産は一時的にゼロで、「じゃあ100万円で買いました」だけど、来年から1億円ずつ利益出ますっていったら、それはおまえ、いいなっていう話もあるよね、オーナーとしては(笑)
いやあ、ありますよね。はいはい。めちゃくちゃおいしいマシンをもらったような感じですよね。
そうそうそう。だってね、そこの仕組みとかまで、ぜんぶつくってきたものを引き継ぐわけだから。だから、M&Aっていう選択肢も一方ではあるというか、ここから出ていく利益とか、EBITDAの何年分とかをもらえるじゃない?社員はたぶん払えないから。
うんうん。
払えないから下げて、退職金とかでやるわけで、っていうケースもあり。だから、やっぱりオーナーとして残るっていうケースもあるよね、一族が。
なるほど。
オーナー一族で経営はまかせる、金は渡さない。役員給与は、がんばってくれた分、十分取ってくれと。ただ、株としては残して、次の世代が配当をもらうとか。
これがよくある、事業だけ切り出すパターンですか?またちがう?いわゆる資産管理会社をつくってのスキームっていうことですか?
それはよくないよ。俺がしゃべってるから当たり前のように言ってるけど(笑)。普通はあんまないけど。通常、オーナーは株を持ってるから、オーナー一族が資産管理会社をつくって、そこに株を入れて、代々持っていくっていうケースは想定できる。そこに、逆に買えるように、特に資産とか土地とか建物を持ってる会社は会社分割をして、資産管理会社と事業を運営する会社みたいに切り出すっていう。
ああ、なるほど。
で、事業を遂行する会社は運営する子にまかせても、賃貸料とかを含めて……だから、資産を残すから、事業会社自体はすごく軽くなるから、この分け方をちゃんと冷静にやれれば軽い会社はつくれて、かつ、利益の分配も決めて、資産の使用料みたいなのを取っていくっていうこともできる。
なるほど。事業会社のほうに分けた事業会社のほうの株っていうのは、資産管理会社が持つっていうケースの話ですか?
いや、売却しても。
そこはもう幹部のほうに完全に渡して?
渡してもいい。やっぱ、この話、複雑かな?
いやいや、複雑というか、いろいろケースが出ちゃうんで。
ああ、そうそうそう。
「一般論がこう」っていう話があるのか。
ないないない。
やっぱそうですよね。
そういう意味じゃ、大きく分けると、幹部が継いでも、M&A、本人にぜんぶまかせる、オーナーとして残る、資産部分だけはオーナーが持つ、みたいなぐらいかな。そのなかで人の感情も含めた、いろんな、それぞれの思惑がありながら、どこが落ち着くところなのか、みたいなところを探していく。
デザインしていくと。
うん。だから、そういう意味じゃ、たぶん、いろんなパターンの知識と……結構相談受けるときに、「継ぐ」=「株を渡す」みたいになっちゃってるから、「それで老後いけます?」みたいに言って、「あ、いけないかも」みたいな(笑)。だから、そのへんはやっぱ経営者たちも……
経営者ご自身の退職後のことを考えてないって話ですね。
考えてないよね。いまはキャッシュフローで入ってくるからあんまり考えないけど、それこそ、たとえば退職金3億円で足りるかどうかっていう。足りるならいいのか、足りても、「翌年から、取ってた分ぜんぶ渡したって、ほんとにいいんですか?」とか。
なるほど。
逆にいうと、経営を継ぐ側からしても、「株を持たれててやってもな」みたいなのか、「給料2,000万もらえりゃ……リスクもとりたくないし」みたいなのかにもよるから、もう、たぶん答えがぜんぜんちがって、一概には言えない。
ただ、大きくは、いま、3分類ぐらいの、大枠の考え方を教えていただいてね。
そうだね。そのぐらい真逆も考えながら、「どっちがいいのか」みたいなのを考えて頭振っていくと、結構ポッと出てくるケースは多いよね。思い込みがすごい多いと思う。
ああ、なるほどね。
まあ、このへんは面白い。人間模様とかも確認したりとか(笑)
ですよね。さっきもポロッと大久保先生おっしゃってましたけど、実際に、1個目に言ってた、幹部にぜんぶ渡すパターンでいうと、かなり、それ自体が事業性よくて、引き継いだあとの1年後に思いっきりキャッシュ入ってくるような事業なんだったら、「なんか、おまえ、ちょっといい思いしてね?」みたいな感情が出ちゃいますよね(笑)
そうね(笑)。だから「顧問料ちょうだいね」みたいなのかもしれない。
ああ。っていうようなところの思惑が出るかもしれない(笑)
そうそうそうそうそう(笑)。まあ、一緒にやってきてるから利益相反とはいわないんだろうけど、とはいえ、まわりの目とか、家族とか子どもとかがいろいろいる関係性のなかで、どうまとめていくかみたいな。
っていう話になると、さっき言ったオーナーとして残るパターンもあるし、もっといくと、資産管理会社と事業会社を切り分けてという。
うーん、資産管理会社ぐらいは切れるかなとは思うけどね。ただ、いまは資産持ってないとこも多いからね、そのへんがなかなか、ケースバイケースですけど。
ということも含めて、要は幹部に継ぐ場合も、この、50代なのかはっきりわかりませんけど、早めにちゃんと考えていかないとスキームとしてはつくれていかないので、先手先手でね。
そうね。特に退職金とかを取るスキームとかだと早めにやって、給与設計とかをいろいろ考えないといけないから、そのへんは早め早めで。
ということで、まさにMAというと「とりあえず売って終わり」ですけど、どっちかというと、これ、第三者承継も含めた形での、いろんなMAの幅があるんですね、スキームにも。
会社を残すっていうことでのMAだから、「出口」って言ってるけど、それは入口でもあるっていうかさ、その人の出口だから。
ああ。ゴーイングコンサーンを前提とする…ということですね。
そうそうそう。
他にもこういった系の質問が多いので、最近、ぜひぜひ、今日の話とかを聞いて、個別具体的に「こういうケースあるんだけど」とかあれば、そのへんはオリジナルのアイデアが出ると思いますので、いただけたらうれしいなと。
(笑)。ありがとうございます。
ということで、今日のとこは終わりましょう。
はい。
ありがとうございました。
ありがとうございました。