もはやメルカリを知らない経営者はいないだろう。
だが、その本質を真に理解している経営者は、まだまだ少ない。
メルカリとは、スマートフォンを使って
衣料品や雑貨などを個人売買する、
フリマ(フリーマーケット)アプリの代表的な存在。
経営者ならば大抵、その程度の知識は持っているはずだ。
つまりは、要らなくなったものを売買する、
インターネット上のフリーマーケット。
確かにその理解は間違ってはいないが、
重要なポイントはそこではない。
フリマアプリは単なるきっかけに過ぎないからだ。
重要なのは、そのきっかけによって
未来がどのように変化していくのかを、
予測しておくことである。
フリマアプリと事業領域が被るリユース業界は、
既にビジネスモデルの変更を余儀なくされている。
だがその影響は、リユース業界には留まらない。
ありとあらゆるマーケットを根底から変えてしまうだろう。
リユースショップで売るよりも、
直接販売したほうが高く売れる。
リユースショップで買うよりも、
直接買ったほうがが安く買える。
それは確かに、大きな変化である。
リユースショップの存在価値をなくしてしまうほどの変化。
とは言え、リユースショップは無くならないだろう。
その場で現金が手に入るというメリットもあるし、
アプリを使いこなせない人や、
使うのが面倒な人は一定数存在し続けるからだ。
もっと大きな変化。
フリマアプリがもたらす最大の変化。
それは、モノの価値を根底から変えてしまうことである。
要らないものが、欲しいものに変わる。
それは資本主義市場を、
根底から変えてしまうほどの変化なのだ。
もちろんこれまでにも、中古品市場は存在した。
要らないものを買取り、欲しい人に販売するビジネス。
だがそこで扱われる商品は、ごく一部のモノに限られていた。
欲しい人がある一定数見込めるモノでなければ、
リユースショップは買い取ってくれない。
ビジネスとして成り立たないからである。
だがフリマアプリならば、
ネットの向こうにたった一人欲しい人がいるだけで、
売買は成立する。
リユースショップでは見向きもされないものが、
売れてしまうのである。
中間業者を介さない、ダイレクトな価値の交換。
そこではヒトやモノの価値が根底からひっくり返る。
これまで売れなかったモノが、価値ある商品へと変化する。
これまで採用されなかったヒトが、価値ある人材へと変化する。
ニッチな価値を持つ商品や人材は、
相対的な価値を求められる従来のマーケットには向いていない。
当然のことながら、ダイレクト交換市場に流れていく。
買う側も同様だ。
ダイレクト市場であれば、求める商品、求める人材を、
無駄な費用を掛けずに手に入れることが出来る。
Googleとスマホが普及した段階で、
実は全ての売り手と買い手は、繋がっているのである。
この先、ダイレクトマーケットは確実に拡大し続けるだろう。
マイノリティーがマジョリティーになる時代がやってくるのだ。
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