その57 プアマンズ。

嗜好品の世界で

「プアマンズ〇〇」

という言い方があります。
〇〇にはおもに高級自動車など、
有名であったり高嶺の花的な立ち位置のメーカー、ブランドが入ります。
プアマンズはビンボー人の、ということですので
まあ普通にけなすニュアンスで使われ、
俗語ですので定義などあってないようなものですが
使われ方としてはふたつあるようです。

ひとつは有名な製品の模倣的な品物を指す場合、
もうひとつは有名なメーカーの最廉価製品を指す場合です。

ポルシェでいったら
前者はポルシェの影響がモロな国産スポーツカーであったり、
後者はポルシェの一番下のグレードであるわけです。

いずれにしてもある「車種」を指してはいるのですが、
すこしおもしろいのはディスりの方向が
それを所有している人に向けられているところです。

前者はようするに
「本物を手に入れられないやつがパクリを持ってる」といっているわけですし、
後者はようするに
「本質を理解できないやつがブランドだけ欲しがってる」といっているわけです。

まったくもって正論で、ごもっともなのですが、
わたくしのようなマガイモノ寄りの人間にはこのような経験もございました。

若いころ、これはバイクだったのですが、
知識がまったくなかったときに
「これはいい、マイナーすぎて生産中止らしいがかっこいい」
と熱を上げていた車種がありました。

やがて調べていくと、それが「プアマンズ〇〇」と呼ばれている場面を
雑誌かネットかで見ました。
たしかに、元ネタであろう外国のバイクと車種名すら似ていたもので
プアマンズの典型ではあったのですが、
正直当時のわたくしにはそこまで似せたものには見えず、
模倣品だとまでは思いませんでした。
なにより、これがいいと思った対象の方が、
「本物」と並べてみても
かっこよく思えてならなかったのです。

元々の車種を知っている人からすれば
それをモデルにしたものを後発で他メーカーが出したら
言い訳の余地なくパクリにしか見えないのは当然ではありますが、
その中でもアレンジが施された独自性があり、
心揺さぶられた以上は一理を認めたくなってしまうものなのです。

だいたい、海外製品など、
文化の違いで先方が無意識にやっていることが魅力の源泉だったりするので、
特徴の臭いのキツいとこを削りつつ
いいところを拾いあげる、というジャパナイズは結構有効なんですよね……

あ、あと最廉価製品といえば、
わたくしマクドナルドはメニューの端っこにしか存在を許されない
ただのハンバーガーが一番うまいと思います。

 

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著者自己紹介

「ぐぐっても名前が出てこない人」、略してGGです。フツーのサラリーマン。キャリアもフツー。

リーマン20年のキャリアを3ヶ月分に集約し、フツーだけど濃度はまあまあすごいエッセンスをご提供するカリキュラム、「グッドゴーイング」を制作中です。

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