【vol.280】航空業界のトレンドや近未来(生体認証)

GlobalPicks 〜海外の情報を読み解いて、ビジネスに付加価値を投薬する方法〜 著者:小出 紘道


先週に引き続き「航空業界のトレンドや近未来」についての記事を読んでみたいと思います。
「Future Travel Experience(未来の旅行体験)」という名前のサイトの記事です。

今回の記事はコレ

10 technology trends that can enhance airline and airport operations in 2023
(2023年、航空会社と空港のオペレーションを強化する10のテクノロジートレンド)
(https://www.futuretravelexperience.com/2023/01/10-tech-trends-that-will-shape-passenger-experiences-and-business-performance-in-2023/)

10個のテクノロジートレンドは下記の通りです。

1.Automation and robotics
2.Artificial Intelligence and Machine Learning
3.Metaverse, digital twin and NFT
4.Personalisation
5.New approaches to retailing
6.Urban Air Mobility
7.Biometrics and digital identity
8.Private Networks
9.Return to collaboration with startups
10.Sustainability

 

「6.Urban Air Mobility」の項目は全然発見がなかったので、「7.Biometrics and digital identity」に移ります。

7.Biometrics and digital identity
(生体認証とデジタルID)

IATA’s 2022 Global Passenger Survey indicates that: “Passengers see value in biometric identification. 75% of passengers want to use biometric data instead of passports and boarding passes.”

IATAの2022年世界旅客調査によると、「乗客はバイオメトリクス認証に価値を見出している。乗客の75%がパスポートや搭乗券の代わりにバイオメトリック・データの使用を望んでいる。

コロナ禍以降、何事も「非接触化」が進んでいますが、空港でも、パスポートや搭乗券を見せるのではなく生体認証でチェックインやイミグレーションチェックを行う方向へと進んでいるようです。

The TSA, in collaboration with the State of Arizona and Apple, has also deployed a new digital technology for identity verification at Phoenix Sky Harbor International Airport’s security checkpoints. Arizona-resident travellers can now verify their identity using their state-issued mobile driver’s license or mobile identification card issued in Apple Wallet on iPhone or Apple Watch.

TSAはアリゾナ州およびアップルと共同で、フェニックス・スカイハーバー国際空港の保安検査場にも、本人確認のための新しいデジタル技術を導入した。アリゾナ州在住の旅行者は、iPhoneやApple WatchのApple Walletで、州発行のモバイル運転免許証やモバイル身分証明書を使って本人確認ができるようになった。

この事例が示すように、単にチェックインにバイオメトリクスを使うだけではなくて、保安検査にも活用している事例ですね。
事前にiPhoneとかApple Watchで生体認証できている(本人確認済み)なので、チェックインも保安検査の時もQRコードのスキャンすら要らないという運用みたいです。(もちろん荷物はチェックされますが)

前回までのpostでも何度かコメントしましたが、航空業界って「一定の不自由と引き換えに非日常を体験する」ことに価値を見出す層がそれなりに存在する業界です。
こうしたバイオメトリクスについての「利便性」は、「非日常体験」を阻害するようなものではないでしょうから、全方位的に歓迎されそうです。
ちなみに、個人的には、バイオメトリクスによるチェックインなどの個人特定が、鉄道やタクシーやコンビニやスーパーやドラッグストアで導入されて、「日常の移動や買い物」が究極に便利になることを希望します。

 

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「本コラムと、本業ビジネスとの関係」(著者・小出紘道より)

本業ビジネスでは「マーケティング&戦略コンサル」の仕事と、「高付加価値情報提供サービス」の仕事をしています。本コラムは後者の「高付加価値情報提供サービス」の初級編としての入り口となればいいな、と思ってます。世界の誰かが”既にかなり研究したり、結論を出している”にも関わらず”日本では流通していない数値情報や文字情報”がたくさんあります。それらの情報を、日本のマーケットにフィットするように編集・分析すれば「競合他社」や「競合他者」を出し抜ける可能性が高まります。法人向けのサービスとなっていますので、詳細はFace to Faceでお伝えしますね。

著者情報


小出紘道 (HIROMICHI KOIDE)
◆株式会社シタシオン ストラテジックパートナーズ 代表取締役社長 http://citation-sp.co.jp
◆株式会社シタシオンジャパン 取締役会長 http://www.citation.co.jp
◆株式会社 イー・ファルコン 取締役 http://www.e-falcon.co.jp
<いわゆる経歴>
・2000年 株式会社東京個別指導学院に新卒で入社して、11ヶ月だけ働いてみた(→早めに飽きた) ・2001年 イギリスに行って、University of Londonで経済と国際関係を学んだり、Heriot-Watt Universityで経営学(MBA)をやってみた(→めちゃくちゃ勉強した)。この間に、イギリス人の友人とロンドンで会社を作ってみた(→イマイチだった) ・2003年 シタシオンジャパン社でマーケティングをやり始めてみた(→ろくにエクセルも使えなかった) ・2007年 シタシオンジャパン社の代表取締役社長になって経営をやってみた(→やってみてよかった) ・2018年 シタシオンジャパン社の社長を仲間に託し、引き続き会長としてコミットしつつも、シタシオンストラテジックパートナーズ社を設立してみた(→今ここ)
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