第20回 売上を上げるには「客単価を上げる」

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国13店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第20回 売上を上げるには「客単価を上げる」

安田

我々2人の共通点として、「商売好き」というのがありますよね。「商売」であるからには儲かっていることが大事だと思うんです。でも倉橋さんを見てると、どうもお金儲けは目的じゃないような気がして……


倉橋

そうですか(笑)。お金を増やしたい気持ちもなくはないですけどね。でも仰るとおり、それが目的ではないかもしれない。

安田

ということは、お金儲けは手段なんですか。


倉橋
うーん、手段でもあり、自分のビジネスが支持されているかの評価でもありますよね。
安田

ああ、なるほど。一つの指標として捉えていると。お金自体はどう見えているんです? ないよりあった方がいいのは、私生活でもビジネスでも同じだと思いますけど。


倉橋
僕もそう思いますよ。お金がたくさんあれば、それだけ大きなビジネスができますし。ショッピングモールのように何百億円も動くような事業の話を聞くと、「僕にやらせてほしい!」と思いますし。
安田
へぇ。ちなみにそういう時は、「自分だったらこうするな」というプランを考えたりするわけですか。

倉橋
しますね(笑)。このくらいの予算があったらこんな方法で集客できるな、とか。いろいろプロデュースしてみたいですね。
安田

ちなみに、長らく小売業のトップだった百貨店が、全く売れなくなってしまいましたよね。あれはやり方の問題なんですかね。場所も一等地だし資金力もブランド力もあったはずなのに。


倉橋

やっぱり時代の変化に対応することができなかったんでしょうね。商売をする上で、時代のニーズを捉えることはすごく大事だと思います。というのも、世の中が変わるときって「何かおかしいな」という前兆が必ずあるんですよ。

安田
へぇ。それを感じて行動するか、あるいは見て見ぬふりをするのかが分かれ目ということですか。

倉橋

そうですそうです。3ヶ月、半年と見て見ぬふりをしている間に、気づいたら取り残されているというのはよくある話です。そのくらい世の中の変化って早いので。

安田

ということは、百貨店は長い間見て見ぬふりをしていたってことなんですかね。例えばデパ地下ぐらいしかお客さんが来ていない百貨店を倉橋さんが任されたらどうしますか?


倉橋
まずは改革をしますね。2階から上はお客さんのニーズがないから集客がないわけで。
安田
確かにそうですよね。不動産屋なら丸ごとテナント貸しする方が儲かると言いそうですけど、他にやりようがあると思いますか?

倉橋
全然あると思います。ただ、今までの百貨店のあり方は大きく変える必要があるでしょうね。まあ、そこが一番難しいのかもしれませんけど。
安田

なぜ難しいんでしょう?


倉橋
大きな変化を実現するのって、ものすごくエネルギーが必要になるので。僕自身、変えないといけないのはわかっていたけど、その大変さに怯んで行動できなかったり、気付かないふりをしてしまったことがあります。
安田

なるほど。とはいえ世の中の方がこれだけ目まぐるしく変わる時代だと、自分自身も変わらざるを得ないですよね。


倉橋
仰るとおりだと思います。いずれ向き合わなければならない日はやってくる。だから僕はもう気付かないふりだけはやめようと思ってます。
安田
ちなみに先ほど、何百億が動くような事業をやってみたいと仰っていましたよね。つまり倉橋さんは、大きなお金で大きなビジネスをしたい人だと。一方で、あまりお金を使いたがらない経営者もいませんか。

倉橋
ああ、確かにいますね。お金は使わないと増えていかないと思うんですけどね。
安田
私もそう思うんですよ。だから不思議なんです。「商売で成功してお金持ちになりたい」と言いながら、なるべくお金は使いたくないと。そういう人は、そもそも商売にあまり向いてないんじゃないかと思ってしまいます。

倉橋
売上を上げる要素として、「客単価を上げる」「仕入単価を下げる」「固定費を下げる」「客数を増やす」の4つがあると言われますよね。その中で言うと、仕入単価を下げるのが一番反応が弱いんです。
安田
確かに経費を多少削減したからって、残る利益はそこまで変わらないですよね。

倉橋

そうなんです。で、4つの要素の中で一番反応がいい、つまり売上に直結するのが「客単価を上げる」なんですね。

安田
なるほど。つまり売上を上げるには、仕入れ値を下げるより単価を上げることだと。

倉橋
ええ。で、客単価を上げるにはある程度の投資が必要になってきます。つまり、「もっと儲けるためにもっとお金を使う」わけです。でもお金を使いたくない社長は、どうしても「出ていくお金を減らそう」と考えてしまう。
安田
タダで仕入れたものを1万円で売るより、1万円で仕入れて2万円で売る方がよっぽど選択肢が広がる気がしますけどね。
倉橋

仰るとおりです。経費削減に一生懸命になるくらいなら、価格を上げるために時間やお金を使うべきだと思います。というか、「どうやって客単価を上げるか」を考えることが商売なんだと思います。

安田
なるほど。客単価を上げる方法もいろいろありそうですね。また今度詳しく伺っていきたいと思います。


対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

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株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に16店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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