第32回 イーロン・マスクを目指す人、目指さない人

この対談について

住宅業界(新築・リフォーム・不動産)の「課題何でも解決屋」として20年以上のキャリアを持つ株式会社ランリグが、その過程で出会った優秀な人材を他社に活用してもらう新サービス『その道のプロ』をスタートしました。2000名以上のスペシャリストと繋がる渡邉社長に、『その道のプロ』の活用方法を伺う対談企画。

第32回 イーロン・マスクを目指す人、目指さない人

安田
イーロン・マスクがTwitter社を買収しましたけど、元々Twitter社って夢のような福利厚生だったらしいですね。おしゃれなカフェがあって、無料でご飯が食べられて、リモートワークも自由で、みたいな。

渡邉
それをイーロン・マスクが「やる気があるなら会社に出てこい!」とぶった切ったわけですね(笑)。
安田
そうそう。しかも3分の2をクビにした上で、さらにものすごいハードワークを強要して。挙げ句「嫌なら出て行け!」という剛腕ぶりですから(笑)。

渡邉

あれはあれでいいと思いますけどね。アメリカらしいというか。

安田
とはいえ、日本で同じことをしたら大変な騒ぎになるでしょう。アメリカだからOKというだけでなく、イーロン・マスクだから許される部分があるんだと思います。

渡邉
ただイーロン・マスクがどんなに剛腕だとしても、働く人にも選択の自由がありますから。どうしても無理なら他の会社に行けばいい。
安田
確かに、側近中の側近の人でも、途中で耐えきれなくなって辞めてますからね。でもいざ辞めて他の会社に行くと、「なんだか物足りない」と戻ってくる人もいるみたいで。一度イーロン・マスクと働くと、他では働いてる実感が湧かなくなるんでしょうね。

渡邉
そう考えると、イーロン・マスクはスティーブ・ジョブズと同じタイプなんでしょうね。
安田
ああ、確かにそっくりだって言いますね。自分が納得のいくレベルまで絶対に持っていく部分とか。できない理由は一切聞かずに、「クビになりたくなかったらやれ!」という感じらしいですから。

渡邉
もうパワハラというレベルを超越してますよね。
安田
でもそこまでやらないと、民間でロケットを飛ばすとか、電気自動車で世界一になるとか、そういう成果は出せないんでしょう。

渡邉
そのモチベーションって、元々持って生まれたものなんですかね。
安田
ある意味病的と言えるくらい偏っているというか。ある部分が突出してる分、他のところが大きく欠落しているんだと思いますよ。
渡邉

イーロン・マスクの本を読んでいる経営者、最近多いじゃないですか。でも、あれを読んでそのまま真似をしたら大変なことになると思うんですよ。小説として読むんだったらいいですけど。

安田
真似したくなる人も多いでしょうね。たたき上げのオーナー経営者なんかは特に。でも実際に同じことをしたら、社員はパワハラだと感じてしまう。今は食事すら気軽に誘えない時代ですから。

渡邉
昔は社長に「飲みに行くぞ!」と言われたら、ついていくのが当たり前でしたけど。今は逆に社長の方が気を遣って、「あの……今日、空いてる?」みたいな(笑)。
安田

笑。まぁ時代は変わりましたよね。高校野球でも、坊主頭じゃない学校が優勝したり。


渡邉
社会の常識が変わったっていうことですよね。「結果を出すためには厳しい訓練があるのが当たり前」という感覚はもう通用しない。
安田

そうは言っても、その感覚が完全に消えたわけでもなくて。特に私の世代だと、ブラック企業で育った人が多いんですよ。リクルートも私がいた当時はブラック企業的で、数字が達成していないことを皆の前で詰められるなんてしょっちゅうでした。


渡邉
ストレスも相当でしたよね。今だったら鬱と診断される人もいたかもしれない。
安田

表に出てなかっただけで、大勢いたんでしょうね。とにかく、良かれ悪しかれその頃を経験している人って「ブラック企業の体質」に変な理解があるんですよ。一応、今の価値観に理解を示しつつも、心の中では「でもそういう厳しい経験をしないと力は付かないよ」と思っている。

渡邉
ああ、なるほど。そういう環境のおかげで今の自分がある、という自負があるんでしょうね。一理あるとは思いますよ。僕自身も20代で目一杯仕事してよかったなと思っているので。
安田

やるならとことん、それこそ火星まで行くとなればついてくる人もいるかもしれませんけどね。そもそもイーロン・マスク自身が、1ヶ月ぐらい泊まり込んで一緒に仕事してますから。まるで下町ロケットの世界ですよね。


渡邉
でも僕の周りでも「死ぬ気でやるぞ!」と社員を鼓舞して、上場に向けて24時間働いているような会社は何社か知っています。
安田

へぇ。それはすごいですね。まあ、ある程度ストックオプションが付与されていて、上場したら何億とか入ってくるんだったら、そりゃ気合も入るでしょう。


渡邉

その人たちは皆「イーロン・マスクになりたい」って言ってますね。年齢的には40~50代なので同世代ですし、考え方も似ている気がします。

安田

イーロン・マスクの本を読んだ人の中でも、同じようになりたいかどうかは分かれますよね。私個人としてはあまり真似しない方がいいんじゃないかなっていう気がしますけどね。


渡邉

笑。中途半端にやるんだったら絶対にやめた方がいいでしょうね。

 


対談している二人

渡邉 昇一(わたなべ しょういち)
株式会社ランリグ 代表取締役

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1975年、大阪市に生まれる。大学卒業後、採用コンサルティング会社ワイキューブに入社。同社の営業、マーケティングのマネージャー、社長室長及び、福岡などの支店立上げを担当し、同社の売上40億達成に貢献した。29歳の年に株式会社ラン・リグを設立し、今期20期目。述べ900社以上の住宅会社のマーケティング、人材コンサルティング支援と並行し、500店舗以上が加盟するボランタリーチェーン「センリョク」など、VC、FC構築にも多数携わる。また、自身が司会を務め、住宅業界の経営者をゲストに招き送る自社のラジオ番組は、6年間で、延べ300回以上の配信を経て、毎月2万人以上の業界関係者が視聴する番組に成長した。今年5月には、2000人以上のプロ人材とのネットワークを生かした~社長の右腕派遣サービス~【その道のプロ】を本格リリース。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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