第217回 商売に欠かせない要素

 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

「商売が上手くいくために必要なものは何なのか?」
こんな問いに対して、皆さんだったらどんな答えをするでしょうか。

詳細な事業計画、独自性のある商品、効果的な集客、十分な資金などなど、人によって答えは違うと思いますし、これが絶対に正解だと言い切れる答えもないのかも知れません。だからこそ、商売をする多くの人が成功事例のような情報を求め続けるのだと思います。

私自身、上記のような答えが間違っているとは思いません。
ただ一点、上記の答えのように商売を始める前に準備できるものとは異なり、商売を続けていく過程でしか手に入らない、商売が上手くいくために欠かせない要素があるような気がしてならないのです。


私が感じている、商売を続けていく過程でしか手に入らない要素。
それは「失敗に対する耐性の強さ」。

私たちは商売で成果を出すために、様々な取り組みをしていきます。
もちろん、その取り組みが上手くいくこともあるでしょうし、期待通りにならないこともあるでしょう。

ここで私自身の経験から思うのは、商売における新たな取り組みは期待通りの結果にならない場合の方が多いということであり、その経験から考えるのであれば、成果が出ている商売の裏には私たちには見えていない数多くの失敗があるはずだということ。

つまり、冒頭に挙げたような答えは間違ってはいないと感じる一方で、商売では失敗が避けられない以上、失敗に対する耐性なしに商売を軌道に乗せることはできないのではないか、と思うのです。

「商売が上手くいっている人は何をやっているのか?」

こう考えた時に私たちはその人の上手くいった部分ばかりに注目し、自分が上手くいかなかったときに落胆してしまいがちです。でも、私たちが本当に意識を向けるべきなのはむしろ、その成功の裏にあるはずの失敗経験の数であり、失敗をどう捉えるのかという姿勢なのではないでしょうか。

そう考えると、商売が上手くいく人とは成功を引き続けた人というよりも、失敗耐性が強くなった人なのかも知れず、だとするならば失敗を避けようとするあまり行動を遅らせてしまう選択こそが、最も商売が上手くいかなくなってしまう選択ではないか、と思えるのです。

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著者/辻本 誠(つじもと まこと)

<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/

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