このコラムについて
「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。
本日のお作法/会社に歴史あり!
「ご安全に!」
発電所内にいると、一般人には聞き慣れない、この言葉が聞こえてきます。
所内での全体朝礼のとき、ミーティングのとき、作業員同士がすれ違うとき。
こういった場面で使われるのが「ご安全に!」。
「関西電力」さんのHPには、この挨拶に込められた「想い・由来」が記載されています。
その昔、ドイツの炭鉱夫たちの間で使われていた「ご無事で!(Gluck auf、グリュックアウフ)」という挨拶が由来とされていますが、
日本では、昭和26年に「住友金属工業(現・日本製鉄)」の製鋼所製鋼課の大中副長が、ドイツの鉱山でこの挨拶を知り、帰国後に従業員への「安全啓発策」として「挨拶言葉」にするよう提言したことから、その後「鉄鋼業界を中心」に広まったといわれています。
今では、多くの作業現場などで「挨拶」として使われており、「現場での朝礼、終礼」、「すれ違う時」や、「電話を切る時」などにも「ご安全に!」とお互いに声をかけあう姿が見られます。
ところで、東京・丸の内には、「日本製鉄」さんの本社があるのですが、日中、東京駅近辺を歩いていますと、スーツ姿のビジネスパーソンがすれ違い様に、お互いに「ご安全に!」と声を掛け合うシーンに出くわすことがあるのですが、こんな由来を知らないと、「何か危険なことがあるのか?」など辺りを見回したりしてしまうかもしれません。
同様に、製鉄所内には、階段の上がり下がりや、通路を曲がる際など「指差呼称」が徹底されている文化が存在します。
製鉄現場では、新人さんなのか10代後半に見える若者などが「慣れない文化」に照れもあるのか、ふざけたりしながら「指差呼称」をする姿を見かけることも。
また、別の場所ではベテランさんが、シャンとした姿勢で「ご安全に!」の挨拶や「指差呼称」をする姿に出会うことも。
そして、年月が積み重ねられて「本物」になると、東京・丸ビルのエレベーターが希望階に到着した際に、「左右を指差し確認」しながら降りる姿を見せることだってあるのです。
「人に歴史あり!」と言いますが、企業の文化、風土、歴史は人が作り上げるものなのですよね。
みなさま、本日もご安全に!