母から受け継いだ指輪をネックレスに、片方なくしたピアスをペンダントに、思い出の詰まった2つのリングを溶かして1つに――。魔法のようにジュエリーを生まれ変わらせるジュエリー修理・リフォーム専門店「Refine」(リファイン)。代表の望月信吾さんに、お客様に感動を届けるジュエリーリフォームの魅力、そして波乱万丈な人生についてお聞きする対談企画です。
第6回 リフォームによって受け継がれる価値

前回はジュエリーに込められたパーソナルな価値「大切価値」についてお聞きしましたね。市場価値だけじゃなく、ジュエリーに込められた想いを推し量ることも重要だと。

仰るとおりです。そのためにもお客様のご要望をヒアリングすることが大切になってきます。「何とか1回でも使えればいい」という方もいれば、「娘にあげるためにリフォームしたい」という方まで、目的は様々ですから。

もちろんそれは意識します。とはいえ、ジュエリーってすごく小さいでしょう? あの数センチの中でできることには限りがありますし、何よりジュエリーは「身につける」ことに意味があるので、トレンドなども加味しながらデザインを提案することが多いですね。

そうそう。たとえば娘さんがお母さんから「これは結婚する時お父さんからもらったものなんだよ」と指輪を受け継いだとします。娘さんもその想いは受け継ぎたいんだけど、デザインがちょっと…というときなんかに、リフォームはすごく便利で。

それすごくいいですね! お母さんとしては想いを受け継いでもらえて嬉しいし、娘さんも無理して身につけるわけじゃない。まさにウィンウィンですよ。ちなみに、依頼されるのはどれくらいのランクのジュエリーが多いんですか?

宝石の種類によって違うんですが、例えばダイヤは何百年経っても劣化することはないと言われています。ただ、色石なんかは石の中にもともとあった傷が徐々に見えるようになることはあるので、100%同じ状態が保たれるというわけでもないんですけど。

とはいえ、やっぱり持ち主としては気になりますよね。それにダイヤはまだましな方で、エメラルドは5大宝石の中でも一番石の中に傷が多いんです。「癖のない人間と傷のないエメラルドはない」とも言われるくらいで(笑)。

そうかもしれません。他にも古いデパートの箱に入った指輪を持ってこられたお客様がいらっしゃって。「デパートで買ったものだから本物だと思う」と仰るんですが、一目見てガラスだとわかるようなものでして。

というよりは、本物の石として販売はしていなかったと思うんです。ただどこかでその記憶がすり替わってしまったのか……それでも「大切な人からもらったものだから、本物かに関係なくリフォームしたい」という方もけっこういらっしゃいますね。
対談している二人
望月 信吾(もちづき しんご)
ジュエリー工房リファイン 代表
25歳で証券会社を退社後、父親の経営する宝石の卸会社に入るが3年後に倒産。その後独立するもすぐに700万円の不渡り手形を受け路頭に迷う。一念発起して2009年に大塚にジュエリー工房リファインをオープンして現在3店舗を運営。<お客様の「大切価値」を尊重し、地元に密着したプロのサービスを提供したい>がモットー。この素晴らしい仕事に共感してくれる人とつながり仕事の輪を広げていきたいと現在パートナー募集中。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。