第56回 家を買うのにモデルハウスは必要か

この対談について

住宅業界(新築・リフォーム・不動産)の「課題何でも解決屋」として20年以上のキャリアを持つ株式会社ランリグが、その過程で出会った優秀な人材を他社に活用してもらう新サービス『その道のプロ』をスタートしました。2000名以上のスペシャリストと繋がる渡邉社長に、『その道のプロ』の活用方法を伺う対談企画。

第56回 家を買うのにモデルハウスは必要か

安田
昔は大手ハウスメーカーが家を売るときって「住宅展示場」がありましたよね。そこで実物大のモデルハウスを見ながら家を買っていたと思うんですけど、最近はあまり見かけない気がして。

渡邉
展示場がなくなっているわけではないんですけど、今は「実際に建てた家」をお客さんに見せて営業するというパターンが増えてますね。
安田

ああ、なるほど。1棟なり2棟なりを実際に建ててしまって、現地見学会のような感じで見せるわけですか。


渡邉

そうそう。あるいは既に購入された施主さんにかけあって、1週間くらいモデルハウスとして借りる、みたいなことをしたり。

安田
ははぁ、なるほど。あと最近はオンラインの活用もよく聞きます。3DやVRを使って壁紙を変えたり部屋の間取りを変えたりできる、みたいな。

渡邉
そうですね。バーチャル展示場なんかも出てきてますね。
安田
「この家具をここに置いたらスペースが足りないから間取りを変えましょう」みたいに、考えるだけでも楽しいんじゃないかなと。そうなるともうモデルハウスはいらない気もしてきますけど。

渡邉
確かに。モデルハウスってハウスメーカーとしても大きな投資になるので、判断が分かれるところだと思います。
安田
逆に言えば、それだけ費用をかけてでもモデルハウスを作っている会社は、それ以上のリターンがあると見込んでいるわけですよね。実際効果はあるんですか?

渡邉
現物を見せられるというメリットは前提として、もう一つは安心感のためですよね。「あの展示場に出展してる会社だから大丈夫」というブランド感というか。
安田
ははぁ、なるほどなぁ。……とはいえ、しつこくてすみませんが、先ほど言っていたバーチャル展示場とかがもう少し機能してくれば、やっぱりモデルハウスはいらない気がするんですけど。

渡邉
安田さんはモデルハウスになにか恨みでもあるんですか(笑)。
安田
別に恨みはないですけど(笑)。どちらかと言うと、バーチャル展示場のような未来のテクノロジーにワクワクするんですよ。もう少し技術が進んでいけば、「バーチャルに特化した建築屋さん」が出てくる可能性もあるんじゃないか、とか。
渡邉

あ、そういうところはもう出てきてますよ。お客さんの方もバーチャル体験を当たり前のものとして受け入れつつあります。もちろん、「どうしても現物を見ないと決められない」という人もいるので、リアル展示場が完全になくなることはないでしょうけど。

安田
なるほど。バーチャルでシミュレーションする人もいれば、リアルの展示場や見学会に行く人もいると。

渡邉
ええ。あるいは同じ人がバーチャルとリアル両方で検討したり。そうやって選択肢が増えているので、メーカー側も「宿泊体験」みたいなおもしろ企画をやったりしていますね。
安田

へぇ、皆さんそれぞれに工夫されてるんですね。ちなみにバーチャルとリアルだと、どちらの方が決まりやすいんですかね? 家づくりに何を求めているかによるのかもしれませんけど。


渡邉
それでいうと、バーチャルかリアルか、というよりも「いろいろ考えて自分たちで決めたんだ」ということが大事なのかもしれません。例えばリノベーションをするとして、1000万円のフルオーダーか900万円のセミオーダーかとなると、フルオーダーの方がお客さんの満足度は高いんです。
安田

まぁそれはそうでしょうね。細かいところまで全部自分たちで選んだわけですから。


渡邉
そうですよね。でも実は、どちらの家も価値としてはほとんど変わらないそうなんです。
安田

そうなんですか! そのコストの差は相談料というわけですか。


渡邉
ええ。自分たちで悩んで、相談しながら決めるというプロセスを買っているというか。つまり100万の差はプロセスの違いなんです。
安田

なるほどなぁ。その違いが満足度につながっていると。バーチャルでもリアルでも、「自分たちで決めた」というプロセスを経ることが重要なんでしょうね。


対談している二人

渡邉 昇一(わたなべ しょういち)
株式会社ランリグ 代表取締役

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1975年、大阪市に生まれる。大学卒業後、採用コンサルティング会社ワイキューブに入社。同社の営業、マーケティングのマネージャー、社長室長及び、福岡などの支店立上げを担当し、同社の売上40億達成に貢献した。29歳の年に株式会社ラン・リグを設立し、今期20期目。述べ900社以上の住宅会社のマーケティング、人材コンサルティング支援と並行し、500店舗以上が加盟するボランタリーチェーン「センリョク」など、VC、FC構築にも多数携わる。また、自身が司会を務め、住宅業界の経営者をゲストに招き送る自社のラジオ番組は、6年間で、延べ300回以上の配信を経て、毎月2万人以上の業界関係者が視聴する番組に成長した。今年5月には、2000人以上のプロ人材とのネットワークを生かした~社長の右腕派遣サービス~【その道のプロ】を本格リリース。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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