人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。
第24回 「天才」の持つ柔軟性
以前メルマガに「天才は脳内で使っている言語が違う」と書かれていたと思うんですが、ここをもう少し深掘りしてみたいんです。日本語や英語のような意味の「言語」じゃなくて、ちょっと違うことを指している気がして。
ああ、そう言われるとそうですね。もしかしたら「価値観」に近いのかもしれません。いずれにしても自分の脳内で使っている言語によって、人生は劇的に変わると思います。
面白い視点ですよね。つまり「どういう言語で自分を動かすか」で人生が変わると。
ええ。人間の脳って、本能的には楽をしたがるものなんです。天才はそのポイントを言語を使って発見し、改善していく。「天才は努力する凡人のことである」とアインシュタインも言ってますが、その努力の方向を規定するのが言語なんじゃないかと。
なるほど。言わば「言語で自分を躾けていく」わけですね。例えば「自分の判断基準」をノートに書き出していけば、「自分の価値観」が可視化できる。
そうそう。そういう意味では「価値観も言語でできている」と言えるわけです。
ははぁ、なるほどなぁ。ちなみに「天才が共通して使う言葉」ってあるんですか?
成功された方はよく「自分は運が良かった」って言いますよね。例えば、普通の人は渋滞にはまると「運が悪かった」とネガティブに考えますけど、天才はそれを「渋滞にはまったことでじっくり考える時間ができた。運が良かった」とポジティブに考えるんです。
ははぁ、なるほど。確かに使う言葉がポジティブかネガティブかによって、人生は大きく変わる気はしますね。
そうそう。うちでは採用面接でも、「あなたは今まで運が良かったですか? 悪かったですか?」って聞くんですよ。
へぇ。それは「運が良かった」と答える人の方が、成果は出せるということですか?
そうです。とはいえ「ピンチはチャンス」のように無理やりポジティブに変換してもダメで。ちゃんとピンチはピンチだと認識した上で、「このピンチが何かプラスをもたらしてくれる」と考えて乗り越えることが大事で。
言われてみれば確かにそうですね。盲目的にポジティブなのも、逆に頭が固い気がします(笑)。
そうなんですよ。ピンチはどうしたってピンチなんで(笑)。そのピンチに逃げずに、ポジティブに向き合うことができるかどうかが重要なんです。
そこが天才と凡人の分かれ目だと。ちなみに私の考える「天才」って、すごくニュートラルなんですよね。たとえば仏教の大家に、仏教の素朴な質問をぶつけても怒らないじゃないですか。仏教を否定するようなことを言っても、「確かにそういう考え方ありますね」みたいな。
ああ、わかります。柔軟性があるというか。
そうそう。科学の天才もそうで、意外にエビデンス信仰じゃないんですよ。「今日はこれが定説だが、明日には変わるかもしれない」ぐらいの感覚でいる。そんな風にすべてのことに対してニュートラルな気がします。
同感です。すごい人ほど、何者も否定しませんよね。
まさにそうですね。そもそも誰かが何かを否定する時って、「現状の自分の知識や感覚」を根拠に否定しているだけなんですよね。実際本当に地球が丸いかどうかも、自分が見たわけじゃない。ですから私は、「実は四角かった」と言われても驚かないように今から準備してます(笑)。
さすがです(笑)。確かにエビデンスに頼りすぎたり、数値化しすぎたりすることで逆に見えなくなるものもありますよね。天才はそのあたりを固めすぎないというか、意図的に余白を残している感じがします。
実際どんな物事も、見る角度によって形はガラッと変わりますからね。こっちから見た方が面白いとか、将来的にプラスになるとか、そういうことを柔軟に考えられることが大事ですよね。
僕が安田さんのことをすごいなと思うのは、普通の人が考えないような視点、柔軟性を持ってらっしゃるところなんです。やっぱりそこが「天才」たる所以だなと。
ありがとうございます。ただ常識がないだけなのかもしれませんが(笑)。
いやいや、むしろ常識はありますよ(笑)。あるからこそはみ出して発想できるんだと思います。そこが面白い。
いやぁ、そう言っていただけると、生きててよかったなと思います(笑)。
対談している二人
藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表
1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。