第68回 BtoBポスティングは、効果なし?

この対談について

「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。

第68回 BtoBポスティングは、効果なし?

安田

最近よく、私のオフィスにチラシがポスティングされているんですよね。「近くにコワーキングスペースができました」とか「今より安い賃料でオフィスが借りられます」って。これっていわゆるBtoB、つまり「事業者向け」のポスティングですが、中辻さんの会社でもやっているんですか?


中辻

いえ、ウチでは受けてないですね。他の業者さんはほぼやられていますけど、私はいつも断っています。

安田

あ、そうでしたか! なぜ断っちゃうんですか?


中辻

だって事業者ポスティングって、全然結果が出ないんですもん(笑)。そもそも社長や会長が会社のポストに入ったチラシを見る可能性って、どれくらいあると思います?

安田

…限りなくゼロに近いでしょうね(笑)。


中辻

ですよね?(笑) なので、決裁権のある人まで届く可能性は低いとわかっているのに、わざわざチラシをポスティングする意味はないんじゃないか、と思ってしまって。だから最近はDMとかLPにした方がずっと効果が出ますよ、というご提案をしています。

安田

なるほど。BtoBで広告を打ちたいなら、チラシ以外の選択肢にした方がいいわけですね。でもDMも捨てられちゃいませんか?


中辻

DMだと、宛名には代表者様のお名前が入りますよね。だから社長さんのデスクの上まで届く可能性はチラシよりかなり高くなるんです。

安田

そうか。個人名が入っているから、きっと広告だろうなぁと思いながらも、念のため社長のデスクに置いておくわけですね(笑)。


中辻

そういうことです(笑)。そして長期的にしっかりとBtoBで集客したい方にはLPをオススメしています。安田さんもご存知だと思いますが、最近のWeb広告ってなかなか優秀なので、広告を届けたい層をかなり精度高く絞って配信できるんですよね。

安田

Facebookの広告なんかだと、例えば「経営者」という項目を選べば、そのステータスで登録している人だけに広告配信できますもんね。


中辻

そうなんですよ。だからかなり効果的。ただLPはどうしても初期費用がかかってしまうので、安価にすませたいという方であればまずはDMをオススメしていますね。

安田

ん? ということは、事業者向けの集客も、中辻さんのところで相談に乗ってもらえるということですか?


中辻

はい、もちろん。DMやLPの作成なんかも請け負っていますよ。

安田

そうなんですね! いやぁ〜すごいな。もはや「ポスティングセンター」というより「集客センター」じゃないですか!(笑)。


中辻

笑。私自身ポスティングがメイン事業だという意識はほぼなくて。お客様にとって利益になると判断すれば、ポスティング・折込・DM・Web広告など、どれでも構わずご提案してますね。

安田

すごい! それだけ幅広い知識を中辻さんは持っているわけだ。


中辻

そうですね。お客様が売りたい商品に合わせて、どのツールで集客していくと一番効果が出るかっていう実績も、それなりに持っていますし。たぶんそういう提案ができることが、私の強みなんだと思います。

安田

素晴らしいですね。ところでBtoBの商品って基本的に単価が高いじゃないですか。で、私ちょっと考えてみたんですけど、ものすごく作り込んだチラシを配布して、1件売れたらいくらの報酬をもらいます、というような「成果報酬型の事業者ポスティング」をやってみるのはどうですか?


中辻

うーん…難しいと思いますね。というのも、対「会社」の商品ってチラシでは全然売れないんですよ。ポスティングチラシって、どうしても「安かろう悪かろう」って思っているお客さんが多くて。

安田

ああ、そうか。そもそもの意識として、ポスティングされているようなチラシで高額なものを売っているわけがない、という思い込みもあるんでしょうね。


中辻

だと思います。事業者ポスティングである程度の成果が出るのって、事務用品くらいじゃないかなぁって思いますね。で、そういうチラシってオフィスにルートセールスしている営業マンが、商談の合間の空き時間とかを使ってパパっとポスティングしていることがほとんどなんですよ。

安田

本業の片手間でポスティングしているわけですね(笑)。


中辻

そうそう(笑)。でもきっと事業者ポスティングってそれくらいの軽い感じでやるのがちょうどいいんだと思います。

安田

ふーむ、なるほど。ちなみに事業者ポスティングの料金って、一般家庭へのポスティング費用と同程度なんですか?


中辻

いえ、それが高くなるんですよね。オフィスってポストの場所がわかりにくかったり、大きいビルだと入ることすらできなかったりして、すごく手間がかかるんです。だからどうしても配布費用を高く設定せざるを得なくて。

安田

ははぁ…値段は高いのに、反響率は悪いと。すごくアンバランスなんですね。


中辻

仰るとおりです。そういうわけで、ウチでは始めからお断りしているんです。とはいえ、実はポスティング中に良さそうなオフィスがあったら、ついでに配布することはあるんですけどね。

安田

ほぅ、それはどうしてなんですか?


中辻

以前お話ししたと思いますが、チラシって女性の方が熱心に見てくれるんですよね。だから女性社員の方が興味を持ちそうなチラシであれば、取っておいていただける可能性があるなと。

安田

ふむふむ。それって例えばどんなチラシなんでしょう?


中辻

ズバリ、飲食店のチラシです。一般家庭に「近所にこんなお店ができましたよ」ってチラシをポスティングしていくのと同時に、オフィスにもポスティングしておく。そうするとその会社の方が「みんなでランチに行こうか」って来てくれたりするんです。

安田

あぁ、確かに。ウチのオフィスの事務員さんも、近所に新しくできたお店のチラシを取り置いていたのを思い出しましたよ! なるほど、そういうからくりだったわけですね(笑)。

 


対談している二人

中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役

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1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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