“生粋の商売人”倉橋純一。全国21店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。
第55回 「お客様マーケティング」に必要な情報収集と編集力
倉橋さんは以前Xで「商材自体にはあまりこだわりがない」と仰ってましたよね。自分が売りたいものではなく、お客さんが求めているものを提供したいという想いが強いと。
そうですね。「お客様が求めているものをビジネスにしたい」と常々思っています。
私の中では「自分自身がマーケットだ」という感覚が強くて。自分が絶対に欲しいと思う商品だったら、他にも欲しい人がいるだろうと考えるんです。
自分をサンプルにしていない分、ターゲットはすごく研究しますね。どこに行っても、家族連れがどんなものを欲しがっていて、どんな時に楽しそうにしているかを常に観察しています。
そうか。現場で見て研究して、商品開発に取り込んでいるわけですね。
そういうことです。ちなみに僕も、起業当時は安田さんが仰るような商品の作り方をしていました。コミックやゲーム機、アダルト系まで、自分が欲しいと思うものをAからZまでやろうと。
そうなんです。逆に自分が詳しくないものには手を出さないようにしていました。僕は釣りをやらないので釣り具は扱わないとか。
なるほどなぁ。だからこそマーケティングや商品選別がうまくいったわけですよね。でもそこからターゲットを変えて、マーケティング方法も変えたと。
買わないですねぇ。今は犬を飼っているので、汚れてもいいようにユニクロばかり着ています(笑)。おしっこかけられても全く腹が立たないのでおすすめです(笑)。
なるほど(笑)。自分自身がマーケットだと、年齢を重ねた時にお客さんが欲しいものと感覚がずれてくるということもあるんですかね。
始めは「自分マーケティング」でもいいけど、どこかのタイミングで「お客さんマーケティング」切り替えないと難しいと。
ああ、確かに業種による違いはありそうですね。ともあれ、切り替えたとしたらそのターゲットについての研究は欠かせないわけですね。
そうそう。だから僕は日曜日には必ずイオンなどのショッピングモールに行くんです。自分自身は何も欲しいものがなくて困ってるぐらいなんですけど。
欲しいものが全くなくても買い物に行くわけですね。なかなか大変な習慣だ(笑)。
私も昔の物欲が100だとしたら、今は1くらいしかないです(笑)。美味しいものを食べるにしても、毎日じゃなくてもいいかな、という感じですし。
ふーむ、なるほどなぁ。ちなみに「自分マーケティング」から「お客さんマーケティング」に切り替えたのはいつ頃なんですか?
40代ぐらいからですかね。「自分が欲しいものがどんどん減ってきたなぁ」と感じたのがその頃で。
ターゲットをマニアックな男性からファミリーに切り替えたのも同じタイミングですか。
なるほどなぁ。とはいえ、ショッピングモールって無限にモノがあるじゃないですか。そこから必要な情報をキャッチするのって簡単じゃないと思うんですけど。
ああ、確かに。いくら繁盛店でも、同じ韓国料理店を別の場所に作ったからといって、必ず流行るわけではないですもんね。
なるほど。現場で情報をキャッチする能力というよりは、それを自分のフィールドに持ってきた時にピッタリ合うように編集する力が必要だということですね。現場をただ見学しているだけではダメだと。
情報収集と編集力のバランスが大事ということですよね。
対談している二人
倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表
株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に20店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。