この対談について
株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。
第72回 「新たな価値」を見出すことで、リユースビジネスの最先端をいく
第72回 「新たな価値」を見出すことで、リユースビジネスの最先端をいく

そうそう。でも日本ってもともとは「リユース国家」だったと言われていて。江戸時代には、短くなったろうそくを集めて溶かしてまた新しいろうそくを作ったり、古いわらじを集めて肥料にしていたりしたんですって。

へぇ、面白いなぁ! でも確かに僕らが子どもの頃だってモノを長く大切に使うことが美徳とされていましたよね。「もったいない精神」という言葉もあるくらいですし。

そうそう。日本ってもともとの資源が少ないことも相まって、どんなモノでも無駄にせず再利用しながら使い切る、という精神が根付いていると思うんです。ところが今の日本人は「中古品」に価値を感じていないと思っていて。

あぁ、僕がこの前お話しした「信楽焼の狸」と同じだ(笑)。海外で高く売れるって、買取業者さんが言っていましたよ。

まさにそうです! それから「中古の宝飾品」も海外で高値で取り引きされているそうですよ。昔よく街の宝石屋で見かけたような、金の土台にサファイアが載せられた指輪とか、ルビーがあしらわれたネックレスみたいなものが。

当時の日本では金(きん)がたくさん採れていた。でもその価値がわかっていなかったために、世界に比べてものすごく不利な比率で銀と交換していたそうで、あっという間に大量の金が世界に流出してしまったんですよ。

その「モノ」って、別に品物だけに限りませんよね。例えば「景色」だって良いわけで。日本人にとっては何の変哲もないありふれた景色だと思っていても、海外の人にとってはすごく魅力的に見えるらしいですし。

確かに。それこそこの対談でも何度もお話ししてきましたが「ただの空き家」に新たな価値を見出して意味付けしてあげると、途端に「魅力的な空き家」へと変わる。それと似ている気がします。
対談している二人
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。