人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。
第35回 フリーランスは「マイ商品」を作るところから

フリーランスの人には「自分の商品を持つ」ことを勧めてまして。「こういう仕事できませんか?」と言われて引き受ける仕事はどうしても報酬が安くなりがちなので。

そうなんです。一方で、「私はこういうことができて、あなたのこういう悩みを解決できますよ」と提案する場合、報酬は自分で決められる。仕事って「誰かの悩みを解決すること」だと思うんですけど、その解決方法という「答え」を持っているのが相手か自分かで報酬が変わるわけです。

ははぁ、なるほど。確かに明確な答えのあることは今後全部AIがやってくれるようになりそうですし、自分だけの答えを見つけられる人が強いんでしょうね。「この人に頼んだらどんな結果が出てくるんだろう?」という期待感を持ってもらえるかどうかというか。

仰るとおりですね。例えば「部屋が暑いからエアコンを買おう」と調べる人は、だいたい値段で決める。でもそこで「エアコンなんか買わなくても、めちゃくちゃ涼しくなる方法を知ってますよ」と言えたら、価格も自由に設定できるわけです。

同感です。安田さんの先ほどの結論のように、パッケージ化された商品よりも、答えのない仕事の方が高額になっていく気がしますね。例えば注文住宅とかでもパッケージ化されてパーツを選ぶだけのようなものだとどんどん低価格になっていくでしょうし。

そうなんですよ。しかもそこまでの商品となると、発注する側にもそれなりに力量が必要ですし、任せるにも信頼感がないといけない。結果、例えば注文住宅なら著名な建築家とか有名デザイナーに依頼が集中してしまうんです。

ええ。だからブランディングなんかについても、佐藤可士和さんみたいな実績のある人のところに仕事が集まってしまう。

そうですね。「ある程度パッケージ化した方がいい」というのもそういうことで。ただパッケージ化するといっても、既に世の中にあるパッケージを使うのではなく、「私が作ったパッケージはこれです」という「マイパッケージ」を作ればいいんだと思います。

そうなんです。しかもね、何から何まで自分でやる必要はないんですよ。例えば自分が住宅のデザイナーだったとして、お庭を作るスペシャリストがいたら、そういう人と組んで「新しい家のスタイル」を作って提案することもできる。
対談している二人
藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表
1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。