「遊んでいるかのように働きたい」をモットーに、毎日アロハシャツ姿で働く“アロハ美容師”こと岩上巧さん。自身が経営するヘアサロン「mahaloco(マハロコ)」には、岩上さんしか実現できない<ココロオドル髪型>を求め多くのお客様が訪れます。その卓越したビジネスセンスの秘密に、ブランディングの専門家・安田佳生が迫る対談企画です。
第29回 コミュニケーションアカデミー、参加者募集中!
前回から、岩上さんがこれから新しく始める予定の『コミュニケーションアカデミー』についてお伺いしています。お客さんとのコミュニケーションに悩んでいる美容師さんは多いでしょうけど……お高いんじゃないですか?
笑。まず今やっている『提案技術アカデミー』は、基本的に1年契約で、月額7万円+消費税でやらせていただいています。今回の『コミュニケーションアカデミー』もひとまずは同じスタイルで始めてみようかなと。
なるほどなるほど。ちなみに『提案技術アカデミー』では、どんな内容を月に何回ずつやるかは決まっているんでしょうか。
今はまだそれほど人数も多くないので、月に1回オンラインで個人セッションをしています。時間はだいたい120分で。
え、2時間も! それはかなりお得ですね。それに、個人セッション以外でも、随時チャット相談を受けてくれるんですよね。
そうですね。お客様に送るLINEやメールの文面添削もしています。
それは美容師さんからお客さんに送る営業メールということですか?
いえ、どちらかと言えばクレーム対応ですね。というのも、アカデミーに参加している方ってプライベートサロンの方がほとんどで。つまり自分が現場に立っている方なので、お客様からクレームやご意見をいただくことがあるわけです。
なるほどなるほど。そういう場合の返信内容を、岩上さんが添削するわけですか。
そうそう。お客様に送る前に、まず僕に見せてくださいって。それで、ちゃんとお客様の意図を汲んだ回答ができているか、きちんと次回につながるようなフォローができているか、といったことをアドバイスさせてもらっています。
ふ〜む、参加者からすると非常に心強いですが、岩上さんはなかなか忙しいですね。月に10人程度が限界なんじゃないですか?
まさに仰るとおりで。実は、さらに月に1回120分間のメンバー全員の合同セッションもやっているんですよね。だから今後は個別から合同の方にシフトしていこうかなと思っていまして。
絶対その方が良いと思います。個別セッションだと岩上さんの時間もどんどん奪われていきますし、そのうちどこかで破綻してしまいますって(笑)。
そうですよね(笑)。それに参加者の方にとっても、他の人の質問やアドバイスなんかを聞ける合同セッションの方が学びが多いと思っていて。だから今後は8〜10人ほどのメンバーで、月に1回120分の合同セッション、というプログラムにしていこうかなと考えています。
良いと思います。そうすると年間で2時間✕12回のセッションになると思いますが、どんなことをやろうとしているんですか?
まずは「メニュー作り」ですね。当たり前のことを見直すという意図で、「なぜそのメニューを考えたのか」「なぜその金額にしたのか」というようなことを掘り下げて考えてもらおうと思っています。
ふむふむ。ちなみに美容師さんたちって、普通はどうやって施術の価格を決めていくもんなんですか?
これが意外と「この辺りの相場はカット5000円だから、ウチも5000円にしておこう」みたいなパターンが多いんですよ。なんていうのかな…美容業界全体的に「原価発想」があまりないせいなんでしょうね。
へぇ、そうなんですか。お店をやろうとすると、原価計算とか販売コストとか、いろいろ細かく考えそうなものですけど…。
実は多くの美容師さんって、自分が美容師になるために勉強してきた時間とか、学びを得るための努力とか、技術を修練してきた時間とか、そういうものをなぜかコストと認識していないんですよ。
ほぅ…そこに一番「美容師さんとしての価値」があると思うんですけどね。ということは、岩上さんはセッションを通じてそこの価値観を入れ替えてあげるんですか?
そうです。「どんなメニュー」を「どういう人」に「いくらで売りたい」のか、一緒に整理して考えてあげたいなと思っています。その一環として、「自分の一番の売り」は何かということも、掘り下げていこうかなと。
自分の売りがわかっていない美容師さんって、そんなに多いんですか?
そうなんですよ。実際に現在の「コミュニケーションアカデミー」にも「コンテンツとしての売りを見つけたい」と受講される方が多くて。それこそハウオリを売りにしたいとか、カットは負けたくないとか、他店とは違うカラー技術を身に着けたいとか。
つまり、自分のサロンを「コンテンツ」で売ろうとしているということですか。うーん…なんか美容師さんって「誰が切るか」というところが、一番ブランディングしやすい「売り」だと思うんですけど…。
まさに仰るとおりです。僕はセッションを通じて「自分が商品なんだ」ということに気づいてもらいたくて。「コアプロダクトは自分自身だ」ということを理解してもらいたいんです。
なるほど。そしてその美容師さんの価値を理解してくれるお客さん向けに、メニュー作りをしていくというわけですね。
そういうことです。だから美容とはちょっと外れて、自分の強みとか、自分は何に1番関心を持っているのかとか、そういう「自分の掘り起こし」をしていくイメージですね。
ははぁ…やっぱり岩上さんは「営業思考」ですよね。「すでに決まっている商品をどうやって高く売るか」ではなく「自分のオリジナル商品を作る」ことにフォーカスしているというか。
あぁ、確かにそうかも。「メニュー作り」を通じて、「参加者1人ひとりの商品を作るお手伝い」をしたいと思っているので。
ちなみにこの「コミュニケーションアカデミー」、どんな人に来てもらいたいとか、逆にこういう人はちょっと…みたいなことってありますか?
基本的には1年契約になるので「お互い、長く付き合いたいと思えるかどうか」を重視しています。「お金払ってるんだから、いろいろ教えてよ」とか「このセッション受けたら、売上どんどんアップするんでしょ?」みたいな考え方の人はご遠慮いただきたいかなぁ…。
そうですそうです。僕も皆さんと一緒に美容業界を変えていきたいと思って、このアカデミーをやりますので、受講される方にもその感覚はしっかり持っていただきたいなと思います。
対談している二人
岩上 巧(いわかみ たくみ)
アロハ美容師/頭髪改善特許技術発明者/パーソナルブランディングプロデューサー/株式会社 OHANA 代表
美容専門学校卒業後、都内のサロンに就職するも、オーナーと価値観の違いから大喧嘩し即クビに。出身地である水戸に戻り実家の美容室で勤務しながら技術を磨き、2008年自身のヘアサロン「mahaloco(マハロコ) 」をオープン。結婚式のプロデュースやイベント企画なども行うパーソナルブランディングプロデュースサロンとして人気を博す。2014 年、髪質改善技術「美髪矯正 hauoli®(2021 年特許取得)」を開発。「まるでハワイで暮らしているように」をテーマに、毎日アロハシャツを着、家族・仲間・お客様と共にハワイアンライフを満喫中。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。