庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。
第63回 ペットも人も安心して過ごせるお庭
動物を飼っている家も多いと思うんですけど、そういう場合はお庭のデザインも変わってくるんですか?
そうですね。特にワンちゃんをお庭で飼う場合は大きく変わります。遊んでいる間に誤って外に出てしまわないよう、フェンスのようなものを設置したりして。
なるほどなるほど。そうすると、ワンちゃんがいる家だと、開放感のある雑木のお庭は難しくなるんですかね。
人だけの場合に比べて制限は多くなりますね。ただ、じゃあ開放感がまったくない庭になるかというとそうでもなくて、工夫はいろいろできるんです。例えばメッシュ状のフェンスを使えばお庭全体が透けて見えるので、窮屈な感じはしないと思います。
へぇ、そういうものがあるんですね。それって力の強い大型犬でも大丈夫なんですか?
ええ、問題ないです。どちらかというと「飛び越えて出ていってしまう」のが怖いので、高さ1.2メートル以上のフェンスを設置することをオススメします。
なるほど〜。ちなみにそういった安全面以外で、ワンちゃん用にデザインする部分もあったりします?
ええ。ワンちゃん好きのご家庭だと「ウチの子が自由に走り回れるようなドッグランを作って」なんてオーダーをいただくこともありますね。
へぇ、自宅のお庭にドッグランですか。よほど広いお庭でないとできないだろうし、都内じゃなかなか難しそうだなぁ(笑)。ちなみにドッグランにする場合、どういう仕様になるんですか? 走り回ることを考えると、土のように柔かい地面の方がいいんですかね。
土だとどうしてもワンちゃんが掘り起こしてしまうので、芝生を敷くことが多いですね。
ああ、確かによく掘ってるイメージがあります(笑)。雨の日なんて、それで泥だらけになっていたり(笑)。でも天然芝だと手入れが大変ですよね。人工芝が多かったりするんですか?
人工芝にしたいというご要望は確かにあるんです。でもワンちゃんのことを考えると、ビニール素材でできた人工芝はあまりオススメできません。夏場はすごく熱くなってしまって、場合によってはやけどしてしまうこともあるので。
ははぁ、なるほど。じゃあ多少手間がかかっても、大切なペットのためには天然芝を入れるべきだと。
そういうご提案をさせていただくことが多いですね。実際、天然芝の方が季節感も感じられて、見た目的にもいいと思いますし。
確かに野球場なんかも天然芝の方がきれいですもんね。屋根がないから開放的だし。
そうですね。天然芝だと日光を当てないといけませんからね。
そういえば、猫の場合はどうなんですか? あまり「庭で遊ばせる」というイメージはないですけど。
そうですね。猫の場合は基本的に家の中で飼われていることが多いですね。住宅街では特に。
ああ、よっぽど田舎なら出入り自由でもいいけど、都会ではすぐいなくなっちゃいそうですもんね。たとえフェンスを作ったとしても、猫のジャンプ力があれば簡単に乗り越えられてしまいそうだし。
そうですね(笑)。車の危険もありますし、あまり外に出さないご家庭が多いかなと。
なるほどなるほど。昔は飼い猫が近所を歩き回っていて、食事の時間になると帰ってくるっていう風景が普通でしたけど。今はもうそういう時代じゃないですもんね。
そうかもしれません。キャットウォークやキャットタワーを作って、家の中で遊ばせてる方が多いですね。
なるほどなるほど。ともあれ「猫のためのお庭」というコンセプトも面白そうです。猫が安全に出入りできる専用の導線を作ったり。
それはおもしろそうですね! もしご依頼があればぜひやってみたいです。
見てみたいなぁ、中島さんの作る「猫のためのお庭」。最近はペットを家族の一員として大切にする人も増えているし、そういったニーズも出てくるかもしれませんね。
本当にそうですね。ペットも人も楽しめるお庭を作っていけたら嬉しいです。
対談している二人
中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役
高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。