庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。
第69回 「余裕」が先か「庭」が先か

なるほど。家から一歩出たら外、ではなく、その間にある空間ということですね。集落と山の間にある「里山」のようなイメージでしょうか。

それでいうと、direct nagomiにご依頼いただくのは「自然を感じたい」というお客様が多かったんですが、最近は機能面を重視される方も増えてきた印象があります。

そうなんですよ。日本のお庭や昔ながらの日本建築って、インバウンドで来られる方にすごく人気があるでしょう? あれはつまり効率重視ではない、一見無駄とも思えるようなものの中に魅力がある、ということだと思うんですよね。

そうそう。日本人は昔からそういう「効率的でない部分」を大事にしてきたわけです。そこをなくしてしまって、効率を追い求めるほどに感性が衰えてしまうというか。無機質な家では新しいアイデアも思いつかない気がして。

わかります。日々の生活の中でアイデアにつながるヒントを得るには、心の余裕が必要ですからね。お庭を通じて、そういう心の余裕を持っていただけると嬉しいなぁ。それでいうと僕の家の庭も、最近少し手間のかかるものに変えたところなんです。
対談している二人
中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役
高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。