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この対談について
地元国立大学を卒業後、父から引き継いだのは演歌が流れ日本人形が飾られたケーキ屋。そんなお店をいったいどのようにしてメディア取材の殺到する人気店へと変貌させたのかーー。株式会社モンテドール の代表取締役兼オーナーパティシエ・スギタマサユキさんの半生とお菓子作りにかける情熱を、安田佳生が深掘りします。
第48回 一切れ1000円のショートケーキは売れるのか。
安田
今は原材料価格が高騰し続けていて、どこも悲鳴を上げていますけど、スギタさんのところも輸入品の原材料を多く使ってますよね。
スギタ
そうですね。中でもチョコレートやバターがすごく値上がりしていて、僕らも今まさに悩んでいるところです。
安田
やっぱりそうなんですね。ちなみにどのくらい値上がりしてるんですか?
スギタ
去年の倍くらいの価格になってるんじゃないかな。毎月毎月信じられないくらい値上がりしてますよ。チョコレートなんて、去年から3回も大きな値上げがあって、さらに4回目が来そうだと言われてますから。
安田
それはすごい。…でも今後も、極端な円高になったりしない限り値上がりは続くと思うんです。仮にチョコレートやバターが今の5倍、10倍の価格になったら、スギタさんならどうされますか?
スギタ
10倍ですか! うーん、それはさすがに厳しいなぁ。まぁでも、そこまで高くなったらチョコレートやバターを使わない商品を作るでしょうね。
安田
なるほど。マーガリンのような代用品を使ったりはしないわけですか。
スギタ
チョコレートもバターも、本物を使いたい派なんです。とはいえ高すぎては使えないので、全く使わずに美味しいと思える商品を作りますね。
安田
なるほど。もし原材料の仕入れに合わせた価格設定にしたら、とんでもなく高いケーキになってしまうわけですもんね。
スギタ
ええ。わかりやすく言えば、バレンタイン用のチョコレートが何千円にもなってしまう感じですよね。「それでも買いたい」と思ってもらえるように価値を伝えることはもちろん大事だと思いますが、それにも限界があるというか。
安田
確かに。とはいえ、海外と比べると日本はまだ安い方じゃないですか。ハワイに行ったら、家族3人でランチを食べるだけで1万円ですよ。
スギタ
確かにそのくらいしますよね。夜にステーキなんて食べたら5万円は飛んでいきますから。
安田
そうそう。それが日本の市場に反映されてくるのも時間の問題だと思うんです。パンやケーキはヨーロッパの文化で、海外からの輸入に頼らざるを得ないことも多いだろうし。
スギタ
そこが難しいところなんですよね。僕らは海外から原料を仕入れる他ないけれど、日本では商品が高く売れない。じゃあ高く売れる海外に輸出しようと考えても、パンやお菓子は生鮮食品ですからね。いっそのこと、海外に店舗を出して現地で売った方がうまくいくのかもしれない。
安田
なるほどなるほど。実際、ラーメン屋さんとかも海外進出してますもんね。
スギタ
そうですね。このまま原材料が何倍にもなっていって、ショートケーキが一切れ1000円を超えたりしてきたら、別の商品展開を真剣に考えないといけなくなるでしょう。
安田
なるほどなぁ。つまり「原材料が爆発的に値上がりしたら商品を変える」という戦略なんですね。とはいえ素人目線では「一切れ1000円のショートケーキ」でも成り立つような気がするんですけど。
スギタ
東京などの首都圏ではそうかもしれませんね。でも地域密着型の店舗だとかなり厳しいんじゃないかなぁ。そういう意味では「ネット通販」とかが一つの回答になるのかもしれません。
安田
ああ、確かに確かに。世の中には高くても買いたいという人はたくさんいるわけで、販路さえあれば売れそうです。
スギタ
いよいよネットへの本格進出の時期が来たということなのかもしれません。今の原材料価格の高騰や採用難を考えても、遅かれ早かれ舵を切ることになる気がします。実際、ある程度商品を絞り込めばできそうな気がしますしね。
スギタ
いいですね(笑)。そこに特化するのもありだと思います。
安田
同感です。年齢的に量が食べたいわけではないというのもありますけど、「高くても本当に美味しいものを食べたい」という気持ちが年々強まってますから。そういう人は多いと思いますよ。
スギタ
そうですよね。もうすでに変化の兆しは現在進行形で来ているので、売り方もガラッと変えるタイミングなのかもしれません。
対談している二人
スギタ マサユキ
株式会社モンテドール 代表取締役
1979年生まれ、広島県広島市出身。幼少期より「家業である洋菓子店を継ぐ!」と豪語していたが、一転して大学に進学することを決意。その後再び継ぐことを決め修行から戻って来るも、先代のケーキ屋を壊して新しくケーキ屋をつくってしまう。 株式会社モンテドール 代表取締役。現在は広島県広島市にて、洋菓子店「Harvest time 」 、パン屋「sugita bakery」 の二店舗を展開。オーナーパティシエとして、日々の製造や商品開発に奮闘中。