あたりまえのことですが、2、30年前と今の若者の価値観はいろいろ異なり、そのうちのひとつに健康に対するスタンスがあるようです。
もちろんひとくくりにできるものではありませんが、昔の若者は大学生にもなるとあたりかまわずタバコの煙を吐きまくり、たくさん酒を飲んで酔ってやらかしたことを自慢げに語るような人が多かったように思います。
簡単にいって、「健康に悪そうな」ことがカッコ良い風潮がありました。
一方、今は大勢においてそうではありません。そもそも、タバコを吸うのも場所の確保などにけっこうな労力が必要なご時世です。
これも、一部のひとであろうことは前提で申し上げますと、今の若い方はジムに行ってウエイトトレーニングなどをすることにも前向きな印象があります。
もちろん、ジム通いは建設的な価値のある運動行為なのですが、昔の「健康に悪そうなことを良しとする」価値観からすると、特にカッコ良いことではなかったように思います。
ジムといったら、なにかの競技に取り組んでいるアスリートか、体つくり自体を目的にした人のものでした。なかでもウエイトトレーニングで筋肥大を図っているひと、ようするにマッチョ志向の人は、そういうことに価値を認めない人からすると、正直侮られていたはずです。
バカにされるとまではいいませんが、
「わざわざ重いもの持ち上げてムキムキになってどうするの?」
という見方はあったと思います。
しかし現在、性別を問わず美しさというものをやたらに重視するようになった昨今、トレーニングで鍛えられた体は美しいことの要素として認められつつあります。
昔のように「強そう」ということとは違う価値観で、ウエイトトレーニングはカッコいいものになったということができるのです。
さて、中高年以上の層に関心の高いテーマ、「健康寿命」についても、じつはウエイトは有効だ、という話を目にしたことがございます。
高齢者の内訳をみたとき、最近の話では一割くらいの男性がほかの方と比べてかなりのハイパフォーマーであることがわかっているそうです。
つまり、その方たちは病気もしにくく生活の質もなかなか下がらない、具体的には、食べる力と足腰がかなり強くできているのだそうです。
男性の方にそういう傾向がある、というのは個人的に意外でしたが、周囲を見渡してみると、たしかに女性は筋量や骨密度で男性に比べれば不利であるうえ、年を取ってしまうと積極的に運動したがらない人が相対的に多いようです。
そこで、ウエイトトレーニングで適度な負荷をかける、という手法は、最短で生活に必要な基礎体力を底上げする方法のもっとも手軽な方法のひとつといって間違いなさそうです。
かつてマッチョのものだった環境が、審美性だの、生きるための手段だのになるって、おもしろいものです。