第108回 日本に住む外国人が増えることで見えてくる未来像

この対談について

株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。

第108回 日本に住む外国人が増えることで見えてくる未来像

安田
最近、来日する外国人がどんどん増えていますよね。円安の影響で出稼ぎに来る人は減っているようですが、日本が大好きだから日本に住みたいっていう外国人が多いらしく。このままいくと、2050年には日本の人口の1割が外国人になるんですって。

鈴木
そうなんですか。でも僕の住んでいる美濃加茂市は、すでに人口の1割が外国人ですよ(笑)。
安田
なんと! 25年後の日本を先取りしているわけですね(笑)。とは言え、私の住む東京都中央区も外国人は多くて。だからたぶんハーフとかクォーターとかを含めたら、あっという間に人口の2割3割が、いわゆる「純粋な日本人」ではなくなるのかなと思っているんです。

鈴木
一部の人は「外国人が増えると犯罪も増える」なんて言っていますけど、その真否に関わらず必然的な流れだと思いますよ。
安田
一方で、トランプ大統領は国境に壁を作ったり、移民を追い出したりしているじゃないですか。日本はそういうことをしなくていいんでしょうかね。

鈴木
そもそも無理でしょう。鎖国しているわけでもないので(笑)。それに外国人を受け入れるということは、そんなに悪いことじゃないと思いますよ。結局そのアメリカだって、移民を受け入れたことであれだけ繁栄したわけで。
安田
確かにそうですよね。私も日本に外国人が増えることはいいと思っています。でもせっかくだったら「日本が大好き」という人に来てもらいたいですよね。

鈴木
あぁ、それは大事ですね。日本文化に全く興味がない人よりも、日本の四季の美しさとか「わびさび」に理解があるとか、そういう人たちの方が日本での生活にも適応してくれそうですし。
安田
同感です。日本に住んでいる人が「純粋な日本人」かどうかはあまり関係なく、「日本文化が好きな人」であれば、日本そのものの良さもより際立ちますよ。それに外国からの視点が入ることで、日本に古くから存在している既得権益のようなおかしな常識や慣習なんかも変わっていくんじゃないかと。

鈴木
あぁ、なるほど。俗に言う「地域を変えるのは、よそ者・若者・馬鹿者」と同じですね。
安田
そうですそうです。そうやって「日本が大好きな外国人」をどんどん受け入れていくことで、「外の目」で見たときにおかしいと感じる部分はどんどん改善されていく。すると結果的に、日本のいいところだけが残っていくと思うんです。

鈴木
そう考えると、僕ら日本人の価値観を見直すという意味でも、外国人を受け入れることはいいことのように感じますね。まぁ、反対意見も多数あるんでしょうけど。
安田
外国人の受け入れに反対する人たちって、「外国人に日本文化を破壊される!」みたいに言うじゃないですか。ああいうのを見るたびに、「じゃあ、あなたは普段から日本文化を大切にしてきたんですか」と聞きたくなってしまう(笑)。

鈴木

笑。外国から日本に来られている人の方がよっぽど、神社仏閣に詳しかったり、お茶を立ててくれたり、着物を着て歩いてくれたりしていますよね(笑)。

安田
そうそう(笑)。日本人の私たちよりもずっと日本文化を大事にしてくれていますよ。そういえば今、北海道のニセコが外国人観光客ばかりになったことで、地元住民が住めなくなっているってご存知ですか?

鈴木
ニュースにもなっていましたね。外国人相手の商売をする方が儲かるからって、どんどん物価が上がり、日本人は追い出されちゃっているらしいですね。
安田
ええ。でもそれも、ニセコに元からあった美しい自然やスノーレジャーに適した雪の質といった魅力を、海外の人たちがちゃんと見出してくれた結果だとも言えるわけですよ。

鈴木
なるほど。そういった「新たな価値の再定義」というのは、外から来た人たちの方がわかりやすいのかもしれないですね。
安田
日本は、世界に誇れる素晴らしい技術や文化がたくさんある国なので。それを未来にしっかりと残していくためにも、そこに魅力を感じてくれる人を日本人・外国人問わず、どんどん増やしていくのが一番いいんでしょうね。

 


対談している二人

鈴木 哲馬(すずき てつま)
株式会社濃飛葬祭 代表取締役

株式会社濃飛葬祭(本社:岐阜県美濃加茂市)代表取締役。昭和58年創業。現在は7つの自社式場を運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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