第46回 ポスティングは独占的な集客ツールになる

この対談について

「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。

第46回 ポスティングは独占的な集客ツールになる

安田

先日、中辻さんのX(旧Twitter)を拝見していたら「チラシの内容や撒き方次第で、相見積は防げる」というようなお話をされていましたよね。業界や商品によってはどうやったって相見積(あいみつもり)が発生すると思うんですけど、そうではないんですか?


中辻

もちろん100%相見積を防ぐのは無理です(笑)。ただWeb集客に比べたら、チラシ集客のほうが圧倒的に相見積になる可能性は少ないですね。これはもう、断言できます。

安田

断言できちゃいますか(笑)。それはなぜなんでしょう?


中辻

そもそもWebとチラシではアプローチする層が違うんです。Webは「プル広告」といって「その商品・情報が欲しい人たち=顕在層」にしか引っ掛けることができません。

安田

お客さんに「検索してもらう」ことで出てくる広告ですからね。


中辻

そうなんです。例えばそろそろお家の塗装をする時期だなあと思っている方が、Googleやyahooで『大阪 塗装店』と検索してくれなければ、顕在層の方たちにはアプローチできないんですよね。

安田

そうですね。その代わり、すでにその情報を欲している人たちを集客できるから、その後の契約・購入までの流れは早い。


中辻

ええ。でも同時に、そういう方たちって自分でもいろいろ調べていて知識があることが多くて。だからいろんな業者から見積りを取り寄せるのが当たり前になっているんですよね。

安田

あぁ、なるほど。


中辻

一方、チラシは「プッシュ広告」といって、企業側が無作為に見せていくタイプの広告です。だから顕在層はもちろんのこと、潜在層のお客様にもリーチできるんですよ。

安田

潜在層ということはつまり「塗装の時期はまだ先だけど、いつかはしないといけないなぁ」と思っているような人ということですね。


中辻

そうですそうです。実はペイント王でもよくあることなんですけど、見積りの問い合わせを受けて現調に伺うと、お客様がペイント王のチラシを何枚もストックしてくださっていることがよくあるんですよ。

安田

へぇ、すごいですね。「いつかはペイント王に頼もう」と思ってチラシを取っておいてくれているわけですか。


中辻

そうなんです。そういう方ってある程度最初から「ペイント王が良さそうだったら、そのままお願いしよう」と思ってくれていることが多い。だから相見積になることも少ないんですよ。

安田

つまりチラシポスティングの魅力って、たとえ「今すぐに必要ではない=お金につながらない人」だとしても、会社や商品の良さを知ってもらえるところなんですね。良さを知ってもらえているからこそ、相見積にもなる可能性も低いと。


中辻

ええ。…そうは言っても、相見積で負けてしまうことがないわけじゃないですよ(笑)。それは単純に弊社のブランド力の問題なんで、まだまだ頑張る余地はあるなと。

安田

なるほど。先ほどの話に戻りますが、顕在マーケットは結論が早い反面、価格競争や条件競争になりがちですよね。そういう意味でも、潜在マーケットにアプローチできるチラシは良いですよね。


中辻

仰る通りです。「今、欲しい」という人ばかりにリーチしていると、安くて早ければそれでいい、というお客様ばかりになってしまいます。一方チラシのポスティングだと「今は興味がない」という潜在顧客の認知度も高めることができる。そしてその方たちが顕在顧客になったときに、ある意味独占して刈り取ることができるんですよね。

安田

なるほどなぁ。私自身もクライアントさんには「顕在マーケットではなく潜在マーケットにアプローチした方がいいですよ」とアドバイスしています。とはいえ、先ほども出たように潜在層が顕在層に変わるまでには時間がかかる。つまり中長期的な戦略が必要になってきますよね。


中辻

そうなんです。だから潜在層の方たちには、ペイント王のチラシを定期的に目にしていただき「塗装って重要なんだな」「塗料によってこんなに差が出るんだ」「いつか頼む時はペイント王にしよう」と、じっくり啓蒙していく必要があると思っています。

安田

なるほど。でも、そういう「時間のかかるチラシ」を撒きたいっていう社長さん、いますか? ほとんどの経営者は、素早い反響が欲しいと思っていると思うんです。特にポスティングを選ぶ人は、その傾向が強いイメージなんですが…。


中辻

仰りたいことはわかります。でもポスティングは潜在層だけにしかリーチできないわけじゃないので。「ちょうど今、ネットで相見積を取っていた」というような顕在層の方にもアプローチは可能です。

安田

そうか。チラシを見ている人の中にも顕在層はいるわけですもんね。


中辻

はい。それに、ポスティングって基本的に自分たちの商圏エリアで撒くんです。だから顕在層のお客様に「ウチの近くにもこんな塗装屋があるのか」と知ってもらうには十分ですし、実際、そこから見積りにつながることも多々ありますよ。

安田

なるほどなぁ。


中辻

ただ、とはいえやはり、チラシはある程度の期間がかかるものだと思ってもらったほうがいいですね。「素早い反響」や「今すぐパッと集客」が目的なんだったらWebやInstagram、Facebook広告の方がマッチする可能性が高いと思います。

安田

あぁ、確かに以前から中辻さんは、「ポスティングは継続してやらないと意味がない」と仰っていますもんね。


中辻

ええ。最低でも半年は継続してもらうことをおすすめしています。で、その間に様々な反響データを集め、チラシの内容も随時ブラッシュアップしていきながら、最大限の効果を目指すんです。1回で大きく当ててやろう、というような博打みたいな使い方はおすすめできません(笑)。

安田

ということは、配布している期間が長くなればなるほど、反響も増えていくもんなんですか?


中辻

はい、そうですね。特に塗装業界はその傾向が強いです。ペイント王のチラシは10年以上配り続けていますが、1〜2ヶ月ポスティングしていない時期があっても問い合わせは止まらないんですよ。

安田

あぁ、先ほどのお話のように、お家に保管しておいてくれるお客さんが多いからですね。


中辻

そうなんです。お見積りに伺ったら「これ、いつの時代に配ったチラシ?」っていうような古くてちょっとシワが入ったようなチラシをお見せいただく時もよくありますから(笑)。

安田

へぇ、それは嬉しいですね。チラシは「保存ができる」という意味でも、見込み客を独占的に集客ができる最高のツールだということがよくわかりました。

 


対談している二人

中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役

Twitter

1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

Twitter  Facebook

1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

感想・著者への質問はこちらから