第333回 完全自動化していくファミレス

この記事について 税金や、助成金、労働法など。法律や規制は、いつの間にか変わっていきます。でもそれは社会的要請などではないのです。そこには明確な意図があります。誰が、どのような意図を持って、ルールを書き換えようとしているのか。意図を読み解けば、未来が見えてきます。

第333回「完全自動化していくファミレス」


安田

ガストやバーミヤンの店長の年収が1000万超になるそうです。

久野

1000万円ですか。今まで意外と安かったんですね。

安田

え!840万円ですよ。これでも安いですか? 

久野

最高が840万円ですから。仕事内容の割に安いですよ。

安田

確かにネット書き込みを見てると「1000万円では割に合わない」という意見が多いです。

久野

そう思います。ただし昔ほど大変じゃないという点は見落としてはいけない。今はマシーンが何でもやってくれるので。

安田

パートやアルバイトの管理は大変ですけどね。

久野

管理している人数は明らかに減っています。外国人の管理は難しい部分もありますけど。

安田

「店舗の業績が次年度の月給・賞与に反映される」と書いてますが。これは働く人にとってどう映るんでしょう?

久野

モチベーション上がるか微妙だと思います。ファミレスの業績って「商圏人口と立地」でほぼ決まってしまいますから。

安田

立地が悪い店を任された店長は辞めちゃうかもしれませんね。

久野

単価設定も出来ないわけですから。料理も工夫出来ないし接客も工夫出来ない。ほぼ配属ガチャですよ。

安田

そう考えると1000万じゃ少ない気もしますね。

久野

はい。アルバイトの穴埋めを社員や店長がやる構造ですから。1500万ぐらいだったら「え!?」って感じがしますけど。

安田

穴埋めの仕事ってそんなに多いんですか?

久野

利益が年収に反映するということは人件費を下げなくちゃいけないので。そのぶん自分が働くってことになる。

安田

なるほど。これ将来的にどうなるんでしょう。どんどん年収を増やすんでしょうか。

久野

コンビニはいずれ無人になると言われているので、ファミレスもそうなっていくかもしれません。ハンバーグを焼くのもベルトコンベアに乗せるだけなので。ラストワンマイルを人間がやってるような感じ。

安田

そのラストワンマイルも人間がやらなくなると。

久野

それが出来たら大きいですよね。利益が爆増するんじゃないですか。

安田

そうなっても店長は必要なんでしょうか?

久野

考えどころでしょうね。年収1000万でも定着しなくて、1500万、2000万となってきたら採算が合わないので。完全無人化しちゃう気もします。

安田

掛け持ちとかはどうですか?いま宿直できる医師が少なすぎて、4病院ぐらい掛け持つ医者が増えているみたいです。

久野

飲食店もそうなるかもしれませんね。店長が掛け持ちで。業務は全くやらないけどロボが止まった時に呼ばれて修理するとか。カメラをチェックして「ロボに触らないでください」とか言ったり。

安田

警備員みたいな仕事ですね。

久野

確かに。警備会社でいい気がしますね。マネジメントを全くやっていないので。

安田

お店の開け閉めもいずれは全自動になるでしょうし。掃除やロボットの修理は外注すれば事足りるし。

久野

顧客がどう受け止めるかでしょうね。

安田

みんなもう分かっているんじゃないですか。ほとんど人間がやっていないことは。ハンバーグとか人間が作った味じゃないですもん。

久野

セントラルキッチンで作って温めただけですからね。問題はラストワンマイルですよ。

安田

最後のワンマイルは「人間にやってほしい」って思ってるんですかね。

久野

思っていないでしょうね。ただマックもそうですけど人間の方がまだ早くて安いんです。いずれは逆転するでしょうけど。

安田

無人化した方が「早いし、安いし」となると、お客さんも喜ぶでしょう。

久野

会社も儲かりますしね。管理者1人で何百人もお客さんを捌くようになって。最後は会社としての決断でしょうね。人不足が背中を押すことになると思います。

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久野勝也 (くの まさや) 社会保険労務士法人とうかい 代表 人事労務の専門家として、未来の組織を中小企業経営者と一緒に描き成長を支援している。拠点は愛知県名古屋市。 事務所HP https://www.tokai-sr.jp/  

安田佳生 (やすだ よしお) 1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

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