【新連載】第1回 スポーツは本当に「健康にいい」のか。

この対談について

健康人生塾の塾長にしてホリスティックニュートリション(総括的栄養学)研究家の久保さんと、「健康とは何か」を深堀りしていく対談企画。「健康と不健康は何が違うのか」「人間は不健康では幸せになれないのか」など、様々な角度から「健康」を考えます。

第1回 スポーツは本当に「健康にいい」のか。

安田
ということで今回から「健康って何ですか?」というテーマでお話を聞いていきたいんですけれど。まあ、そもそも健康って何なんだ、何のための健康なんだという話で。

久保
そうですよね。こんな仕事をしながら言うのも何なんですが、「健康のためなら死んでもいい」みたいな人をたまに見ます。
安田
それじゃ本末転倒だろうと(笑)。でも確かにそういう人いますよね。

久保
日本人は真面目なので割と多いんですよ。健康のために過剰なほど頑張ってしまう。頑張ってるんだけど、頑張りすぎて「なんか顔色悪くない?」みたいな(笑)。
安田
でも、そういう人はまだ理解できるんですよ。私がわからないのは、普段すごく不健康な生活をしているのに、健康診断の前だけ規則正しい生活をして、「ああ、よかった。何もなかった」って安心している人。

久保
ああ、確かに(笑)。その日だけよくても意味ないだろうっていうね。
安田
一方で、仮に病気が見つかったとしてですよ、それを治療するのが健康ということなのか、という視点もあって。私、小さな頃にオカメインコを飼ってたんですよ。

久保
はいはい。ほっぺの赤い、ちょっと大きいインコですね。
安田
そうそう。その足にちょっとしたコブというか、腫瘍のようなものができまして。医者に行ったら「手術したほうがいい」と言うわけです。「でも、結果は保証できません」と。

久保
なるほど。それで手術されたわけですか?
安田
ええ。でも、手術したら死んじゃったんですよ。昨日まで元気だったのに、手術したら死んじゃった。これって何のためにやったんだろうと思って。

久保
わかります。私の義理の母も健康診断で癌が見つかって、それで緊急入院ってことになりましてね。それで最終的に手術を選んだんですが、術後わずか1ヶ月で亡くなってしまいました。
安田
手術しなければ、もしかしたら1ヶ月以上生きれたかもしれない。難しい問題ですね。

久保
価値観も人それぞれですからね。なかなか「こうするべき」とは言えませんね。病気だけじゃなく、運動とかもそうですし。
安田
そうそう。運動って一般的にすごく「健康的」なものとして認知されてますけど、ハードにやり過ぎたらやっぱり体を壊すし、怪我するリスクもあるわけで。

久保
わかります。むしろ運動することで命が縮まってしまうかもしれないというね。もっとも、不健康であれば運動もできないわけで、「運動できるくらいの体にしておきましょうね」というのは言えるかもしれない。
安田
そうですよね。例えばマラソン選手って、こう言っちゃなんですけどガリガリじゃないですか。でもあれは競技としてやっているわけで、理解できるんです。でもたまに健康オタクみたいな人がフルマラソン走ったりするでしょう?

久保
確かに(笑)。「それは本当に健康にいいのか?」というね。
安田
個人的には、40km以上も必死に走ることが体にいいとは思えないんですよ。

久保
それは医療業界でも多くの人が言う話で。たとえば私は数百人分くらい血液を顕微鏡で見るような検査に立ち会っているんですが、本来丸いはずの赤血球がヒトデみたいな形になっている人がいるんです。
安田
ええっ!? 赤血球って変形するんですか。

久保
ええ、ストレスの影響などで変形します。で、そうやってヒトデみたいに変形している人っていうのが、結構な割合でハードに運動されている方なんですよね。
安田
ははあ、やっぱり。

久保
スポーツジムに毎日通っていますとか、それこそフルマラソンをよく走ってますとかね。そういう人に限って赤血球がボロボロな状態になっていたりする。
安田
スポーツ選手の人って、意外と早くに亡くなられたりもしますもんね。もちろん職業として、プロとしてやっている人、あるいは「運動が好き」「筋肉つけるのが好き」って納得している人を否定する気はまったくないんですよ。

久保
わかります。ただ、そこにリスクが伴うことはわかっていた方がいいという話ですね。
安田
仰るとおりです。「運動=体にいいもの」というイメージがありますけど、実際はそう単純じゃないよと。明治くらいからの教育の影響なのかなと思うんですけどね。

久保
私自身、今はこうして「健康」についての仕事をしていますけど、過去に大きな病気をしたことがありましてね。その時にお医者さんに「もっと運動とかした方がいいんでしょうか」と聞いたんです。
安田
そうしたら?

久保
「久保さん、この状態で運動なんかしたら死んじゃいますよ」って(笑)。
安田
笑。先ほど仰っていた「運動できるくらいの体にしておきましょうね」というのはそういう意味なんですね。

久保
そうそう。だから、健康と言っても別に筋肉隆々である必要もなければ、フルマラソンを走れなくたっていいんです。自分の心地よい自然な状態が維持できていれば、それは「健康」と言っていいと思うんです。
安田
なるほどなあ。つまり「健康」の基準っていうのは人によって違うということですね。

久保
そうそう。この対談でもそういう話をしていけたらいいなあと思っています。

 


対談している二人

久保 光弘(くぼ みつひろ)
健康人生塾 塾長/ホリスティックニュートリション研究家

Twitter  Facebook

仙台出身、神奈川大学卒。すかいらーくグループ藍屋入社後、ファンケルへ。約20年サプリメントの営業として勤務後、2013年独立し「健康人生塾」立ち上げ。食をテーマにした「健康人生アドバイザー」としての活動を開始。JHNA認定講師・JHNA認定ストレスニュートリショニスト。ら・べるびい予防医学研究所・ミネラル検査パートナー。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

Twitter  Facebook

1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

感想・著者への質問はこちらから