第106回 会社の庭を「資産」に変える、ブランディングの新発想

この対談について

庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。

第106回 会社の庭を「資産」に変える、ブランディングの新発想

安田

庭付きの会社やクリニックってあるじゃないですか。うちの近所の大手生命保険会社のビルにも立派な庭があるんですが、いつも綺麗に保たれていて。


中島

確かに、企業で管理しているお庭は手が行き届いてますね。

安田

そうなんですよ。ただ中島さんとこうやってお話しているからか、「これは相当手入れが大変だろうな」などと考えてしまって(笑)。


中島

笑。確かに、一般の家庭のお庭以上に気を使われていると思いますから、コストも相応にかかっているでしょう。会社のイメージにも直結するでしょうしね。

安田

そうですよね。枝が伸び放題になっていたり落ち葉が散らかっていたりしたら、マイナスプロモーションどころか苦情が来ちゃいそうですし。ちなみに企業の庭づくりってどうやるんですか? 個人宅と違って好みで作るとかじゃなさそうですけど。


中島

そもそも工場やオフィスでは緑地帯を設ける義務があるんですよね。それで仕方なく、という場合は本当に最低限の木を植えて終わりというケースも多いですね。

安田

へえ、なんだかもったいない。ちゃんと維持費の予算を取るなら、もっとこだわってもよさそうなのに。


中島

そうですね。でも逆に管理が前提となっているから、割と手間のかかる木を考えなしに植えちゃったりもするんですよね。もう少し手間のかからない庭を実現することも可能なんですけど。

安田

ああ、なるほどなるほど。中島さんとしてはそこがちょっと気になると。


中島

気になっちゃいますねぇ(笑)。もっと管理の手間もかからず、かつそこで働く人やお客様に喜んでもらえる庭にしたくなっちゃう。

安田

いいですね! しかも中島さんの作るような素敵な庭なら、お客さんや就職希望者が写真を撮ってSNSにアップしてくれたりして、それだけで宣伝効果が生まれそうです。ブランディング的にもバッチリですよね。


中島

僕自身もそういう部分でお役に立てればと考えています。なるべく維持の手間がかからず、さらにブランディングにもつながるお庭にできればと。

安田

ブランディングの観点から中島さんにリガーデンしてもらえるわけですね。まさに企業の庭にピッタリのサービスじゃないですか。ちなみにお願いした場合、一番何が変わるんです?


中島

もちろんケースバイケースですし、企業様の要望にもよりますが、一番は「印象の明るさ」ですね。伸び放題の木が建物を覆ってしまうと鬱蒼とした雰囲気になってしまうので、そこを整えることで建物がしっかり見えて、爽やかで開放感のあるイメージになります。

安田

つまり「第一印象」がガラッと変わるということですね。人も会社も最初の印象が大事ですからね。


中島

そうですね、そこはすごく意識します。また先ほども話した「手間のかからなさ」は当然重視しますので、維持コストも大幅に削減できます。

安田

ふむふむ。例えば年に4〜5回のメンテナンスが必要だったものが、2回で済むようになるわけですね。

中島

まさにそういう感じです。意図して成長の遅い木を植えることで、剪定の回数は明確に減らせますので。コストが従来の3分の1程度まで下がったケースもあります。

安田

3分の1ですか! それは大きいですね。費用が減る上にブランディング効果まで上がるなら、やらない手はありませんよね。


中島

美容室のお庭を担当したときに、「こんな素敵な美容室があるなら行ってみたい」と1時間もかけて来店されたお客さんがいたそうで。そういうお話を聞くと僕としてもすごく嬉しいですね。

安田

以前お話をお聞きした治療院さんも、「お姫様のような気分になれるお庭で、通院が楽しみになった」と仰ってましたよね。

中島

そうなんです。近隣の方に「通り過ぎてしまうくらい別の場所に見えた」と驚かれるそうで(笑)。

安田

そんなに雰囲気が変わったんですね(笑)。素晴らしい。東京のオフィスでも、立派な木があるのに逆に威圧感や暗さを感じさせるところが多い気がして。もっと親しみやすくておしゃれな庭にすればいいのに、と常々思ってるんです。

中島

どうしてもたくさん詰め込むように植えてしまっていることが多いんですよね。だから鬱蒼として見えてしまうというか。

安田

隙間なく植える=いい庭という固定概念があるのかもしれません。でもそもそもの話、本当はブランドイメージに合わせてデザインした方がいいですよね。

中島

仰るとおりです。僕らとしても、「そのお庭を通じてどう感じてもらいたいか」をしっかりヒアリングしてデザインする必要がありますね。

安田

しかも中島さんのお庭の特徴は「時間が経つほどさらによくなる」ことじゃないですか。完成時がゴールではなく、3年、5年と経つごとに成長して魅力が増していく。

中島

ありがとうございます。そのために3年間のメンテナンスをセットにしています。作って終わりではなく、企業にとって長期的な資産になるお庭を提供できればと。

安田

維持費が減り、ブランドイメージが向上し、さらには人を呼び込む力にもなる。まさに一石三鳥ですね。


対談している二人

中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役

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高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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